研究課題/領域番号 |
24590919
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
赤田 純子 山口大学, 大学研究推進機構, 学術研究員 (30346548)
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研究分担者 |
西川 潤 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00379950)
奥田 真珠美 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40531091)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / 血清 / 小児 / 抗体 / CagA |
研究概要 |
ピロリ菌は長い慢性感染を経て胃癌を誘導する。胃癌撲滅を進めるために、本研究では、胃炎患者や青少年感染者の中から後に胃癌を発症するリスクの高い人を判別する前癌バイオマーカーを見出すことを目標とする。そのために、最も一般的な血清を試料とし、小児血清中のピロリ菌抗体に着目して、ピロリ菌抗原蛋白質の網羅的同定を行った。さらに抗原アレーチップの作製を試みて、多血清試料を分析する新しい方法の確立をめざしている。 インフォームドコンセントを得て採取されたピロリ菌感染小児血清22試料と非感染者血清2試料の提供を受け、2次元電気泳動と血清2次元ウエスタン解析後、約40の抗原蛋白質スポットを2次元ゲルから切り出し、質量分析に供して、抗原蛋白質を同定した。新規10抗原蛋白質を含む24抗原蛋白質を同定した。また全てのピロリ菌陽性血清が反応したCagAについては、8つの部分的CagAリコンビナント蛋白質をGFP誘導蛋白質として大腸菌に発現させ、その粗抽出液をSDS-PAGE後、血清イムノブロット解析を行った。全小児血清が反応する領域を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小児抗原同定のうち、多くの血清が反応する重要な蛋白質スポット1つが未同定である。全てのピロリ菌陽性血清が反応したCagAについては、8つの部分的CagAリコンビナント蛋白質をGFP誘導蛋白質として大腸菌に発現させ、その粗抽出液をSDS-PAGE後、血清イムノブロット解析を行った。これらの蛋白質に付加してあるHisタグを利用して蛋白質精製を行ったが、8つの部分的CagA蛋白質のうち、4領域は蛋白質が不安定で、精製が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
質量分析のデータベースを追加し、未同定抗原の同定を進める。 成人ピロリ菌陽性血清を用いて、抗ピロリ菌抗体、およびピロリ菌感染症特異的自己抗体の抗原蛋白質を、質量分析にて同定する。 抗原蛋白質のリコンビナント蛋白質やペプチドを固定化した蛋白ペプチドチップを作製し、多血清のチップ解析方法を作出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費については血清プロテオミクスを展開するために、二次元電気泳動とウエスタンブロット解析のための蛋白質解析試薬購入に充てる。解析後の質量分析も重要であり、メンテナンスに必要な試薬を購入する。リコンビナント蛋白質の作成と精製、合成ぺプチド、チップ作成、チップを用いた血清抗体検出のための蛍光二次抗体等の試薬も購入する。 研究の遅れから、24年度に予定していたリコンビナント蛋白質作成とチップ解析費用に未使用額が生じた。この未使用額については、平成25年度の蛋白質解析試薬の購入費と合わせて使用する。
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