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2013 年度 実施状況報告書

プロテオミクスと抗原チップ解析によるピロリ菌感染症抗体群の胃発癌シークエンス

研究課題

研究課題/領域番号 24590919
研究機関山口大学

研究代表者

赤田 純子  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師(特命) (30346548)

研究分担者 西川 潤  山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (00379950)
奥田 真珠美  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40531091)
キーワードヘリコバクター・ピロリ / 血清 / 抗体 / 小児 / CagA
研究概要

ピロリ菌は長い慢性感染を経て胃癌を誘導する。胃癌撲滅を進めるために、本研究では、胃炎患者や青少年感染者の中から後に胃癌を発症するリスクの高い人を判別する前癌バイオマーカーを見出すことを目標とする。そのために、最も一般的な血清を試料とし、小児血清中のピロリ菌抗体に着目して、ピロリ菌抗原蛋白質の網羅的同定を行なった。40の抗原蛋白質スポットを二次元ゲルから切り出し質量分析に供して、新規9抗原蛋白質を含む24抗原蛋白質を同定した。全てのピロリ菌陽性血清は、CagAに反応し、多くの血清では強く反応した。そこで、CagA抗体の主要エピトープドメインを解析した。8種類の部分的CagA蛋白質をGFP融合リコンビナント蛋白質として大腸菌に発現させ、その粗抽出液をSDS-PAGE後、血清イムノブロット解析を行った。その結果、CagA中央領域(CagA-M)が最もよく反応したため、主要な抗原ドメインと考えられた。そこでこのGFP-CagA-M蛋白質を精製すると共に、CagA-Mを重複してカバーする25ペプチドを合成した。ペプチドはCagA-M蛋白質と共に基板上にアレイ状に固定化した。チップにはこれまでの解析と同じ血清を反応させ、蛍光二次抗体で抗体の結合したスポットを可視化した。この方法によりCagA-M 領域から2つの抗原エピトープペプチドを同定した。CagAをモデルとして、多血清試料の多種類の抗体を同時に定量的に分析する新しい方法の確立もめざしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ピロリ菌感染小児血清22試料と非感染者血清2試料の提供を受け、ピロリ菌全蛋白質を用いた二次元電気泳動と血清二次元イムノブロット解析後、40の抗原蛋白質スポットを2次元ゲルから切り出し、質量分析に供して、抗原蛋白質を同定した。新規9抗原蛋白質を含む24抗原蛋白質を同定した。全てのピロリ菌陽性血清は、CagAに反応し、多くの血清では強く反応した。そこで、CagA抗体に着目して、CagAの主要エピトープドメインを解析した。8つの部分的CagA蛋白質をGFP融合リコンビナント蛋白質として大腸菌に発現させ、その粗抽出液をSDS-PAGE後、血清イムノブロット解析を行った。部分的CagA蛋白質のうち、CagA中央領域(CagA-M)が最もよく反応し、主要な抗原ドメインと考えられた。そこでこのGFP-CagA-M蛋白質を精製すると共に、CagA-Mを重複してカバーする25ペプチドを作製し、CagA-M蛋白質と共にマレイミド基導入基板にアレイ上に固定化した蛋白/ペプチドチップを作製した。チップには同じ血清を反応させ、蛍光二次抗体で抗体の結合したスポットを可視化した。このチップ解析により、主要な2つのエピトープペプチドが判明した。この2ペプチドの配列を、それぞれピロリ菌の東アジア株6株および西洋株5株の配列と比較したところ、両ペプチド共に東アジア株に特有のアミノ酸を含有していることが分かった。ここまでの解析を論文にまとめ、投稿した。

今後の研究の推進方策

26年度は、小児血清の追加分の他、成人ピロリ菌陽性血清を用いて解析を進める。ピロリ菌蛋白質を二次元電気泳動にて展開し、成人患者血清抗体が反応するピロリ菌抗原蛋白質をリストする。また二次元展開した胃上皮系細胞蛋白質に対してピロリ菌感染症特異的に反応する自己抗体の抗原蛋白質を、質量分析にて同定する。CagA-M上の2抗原エピトープについては、アミノ酸置換を行ったペプチドを準備して、抗原エピトープのアミノ酸特異性をチップ解析にて確認する。この2抗原エピトープペプチドを用いて、同じエピトープを持つ抗体を作成し、東アジア型CagA蛋白質への反応性を確認する。またCagA蛋白質のC末端領域(CagA-C)を網羅するペプチドを固定化したCagA-C蛋白ペプチドチップを作製し、多血清チップ解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

本年度は、ペプチドチップ解析に関する研究が順調に進んだことにより、今年度予算のすべてを使い切らずに次年度に回した。
血清プロテオミクスを展開するために、二次元電気泳動とイムノブロット解析のための蛋白質解析試薬が必要である。解析後の質量分析も重要であり、メンテナンスに必要な試薬代を計上する。26年度は、多様な血清が保存してある兵庫医科大学でも実験を行うため、旅費の予算を計上する。CagAペプチドチップ作製のために、ぺプチド合成の予算も計上する。また、すでに同定した2つの抗原エピトープペプチドを用いて、同じエピトープに対する特異抗体作成を依頼する。未使用額については、26年度予算と合わせて 合成ペプチド購入費および抗体作成依頼費に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A new type of protein chip to detect hepatocellular carcinoma-related autoimmune antibodies in the sera of hepatitis C virus-positive patients2014

    • 著者名/発表者名
      Junko Akada, Shuichi Kamei, Akane Ito, Moe Ito, Takao Kitagawa, Hiroko Furumoto, Yukari Kato, Michiko Tamesa, Motonari Takashima, Mutsunori Shirai, Hirofumi Yamano, Masaaki Oka, Yasuhiro Kuramitsu and Kazuyuki Nakamura
    • 雑誌名

      Proteome Science

      巻: 11 ページ: 33

    • DOI

      10.1186/1477-5956-11-33

    • 査読あり
  • [学会発表] ピロリ菌感染小児血清中の抗ピロリ菌抗体群とCagA抗原ドメインの解析

    • 著者名/発表者名
      赤田純子、奥田真珠美、福田能啓、中澤晶子、中村和行
    • 学会等名
      日本ヘリコバクター学会
    • 発表場所
      長崎大学 良順会館 (長崎県)
    • 招待講演
  • [学会発表] Immuno-proteomics of Helicobacter pylori antigens for IgG antibodies in H. pylori-positive Japanese child sera

    • 著者名/発表者名
      Junko Akada, Masumi Okuda, Yoshihiro Fukuda, Takao Kitagawa, Yasuhiro Kuramitsu, and Kazuyuki Nakamura
    • 学会等名
      HUPO 12th Annual World Congress
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama (神奈川県)

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公開日: 2015-05-28  

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