研究課題
ピロリ菌は長い慢性感染を経て胃癌を誘導する。胃癌撲滅を進めるために、本研究では、胃炎患者や青少年感染者の中から後に胃癌を発症するリスクの高い人を判別する前癌バイオマーカーを見出すことを目標とする。そのために、最も一般的な血清を試料とし、小児血清中のピロリ菌抗体に着目して、ピロリ菌抗原蛋白質の網羅的同定を行なった。40の抗原蛋白質スポットを二次元ゲルから切り出し質量分析に供して、新規9抗原蛋白質を含む24抗原蛋白質を同定した。全てのピロリ菌陽性血清は、CagAに反応し、多くの血清では強く反応した。そこで、CagA抗体の主要エピトープドメインを解析した。8種類の部分的CagA蛋白質をGFP融合リコンビナント蛋白質として大腸菌に発現させ、その粗抽出液をSDS-PAGE後、血清イムノブロット解析を行った。その結果、CagA中央領域(CagA-M)が最もよく反応したため、主要な抗原ドメインと考えられた。そこでこのGFP-CagA-M蛋白質を精製すると共に、CagA-Mを重複してカバーする25ペプチドを合成した。ペプチドはCagA-M蛋白質と共に基板上にアレイ状に固定化した。チップにはこれまでの解析と同じ血清を反応させ、蛍光二次抗体で抗体の結合したスポットを可視化した。この方法によりCagA-M 領域から2つの抗原エピトープペプチドを同定した。同ペプチドとその周辺ペプチドを固定化したCagAペプチドELISAプレートも作製し、多血清試料中のエピトープの異なるCagA抗体を定量的に分析する方法を作出した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
PLOS ONE
巻: 9 ページ: e10461
10.1371/journal.pone.0104611