研究課題/領域番号 |
24590923
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
志村 貴也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90405192)
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研究分担者 |
海老 正秀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40611629)
吉田 道弘 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20636328)
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キーワード | HB-EGF / 胃癌 / 大腸癌 / EGFR |
研究概要 |
申請者らは過去にHB-EGF-mC強制発現胃癌細胞株では、常にHB-EGF-CTFの核移行が阻害されることを報告している。wt-HB-EGF強制発現胃癌細胞株ではHB-EGF-CTFが核移行することから、wt-HB-EGF強制発現胃癌細胞株とHB-EGF-mC強制発現胃癌細胞株を比較検討することによりHB-EGF-CTFの核移行シグナルの機能解析を行うことが可能となった。我々はこのモデルの検討によりHB-EGF-CTFが核移行することにより胃癌細胞の遊走能および浸潤能が促進されることを見出したがそのメカニズムは不明であった。 そこでHB-EGF-CTFが胃癌浸潤能を誘導するメカニズムの解明のため、wt-HB-EGFおよびHB-EGF-CTF強制発現胃癌細胞株を使用し、浸潤・転移に関与する基知の遺伝子とHB-EGF-CTFとの関連性を検討し胃癌浸潤に関わる候補遺伝子を抽出した。次に、抽出した責任遺伝子と胃癌進展における臨床的意義を検討するため、臨床ステージの異なる35例の胃癌組織検体を使用しそれら数種のタンパクの免疫組織化学染色を行ないある種の関連性を同定した。 また近年HER2陽性胃癌に対しtrastuzumabが使用されているが、trastuzumab不応例および耐性例も存在しその耐性メカニズムは依然として不明である。HB-EGF-CTFはHER2と同じEGFRファミリーのリガンドであり胃癌細胞増殖・浸潤に深く関わることから、HER2耐性にも関わる事が示唆され、HER2発現胃がん細胞株を使用し、HB-EGF-CTFの意義に関しても同時に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HB-EGF-CTFの胃がん浸潤に関わる候補遺伝子ならびにタンパクを数種同定し、現在その詳細を検索中である。 しかしながらブロードワイドな網羅的解析はまだ未施行であり、そのため次ステップの細胞実験の遂行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは現時点で抽出したHB-EGF-CTF関連タンパクを用い、胃癌臨床検体に対してさらに追加の免疫組織化学染色を行う。 DNAマイクロアレイを用いて、HB-EGF-CTFの胃癌進展に関わる遺伝子のブロードワイドな網羅的検索を行う。 引き続き胃癌細胞レベルでのHB-EGF-CTFの浸潤ならびに抗がん剤耐性に対するメカニズムについて検討を行い、これらでよい結果が得られれば、腫瘍移植モデルによる追加検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度中にマイクロアレイを施行し、ブロードワイドに網羅的探索をする予定であったが、別のプロジェクトに時間を取られ既知のHB-EGF関連遺伝子の解析・探索にとどまった。また腫瘍移植動物モデルを本年度中に開始する予定であったが、胃がん浸潤に関わる候補遺伝子スクリーニングに時間を要し開始できなかった。 早期にマイクロアレイを施行し、さらにブロードワイドな関連遺伝子の探索を行い、胃癌細胞実験を行い、さらに腫瘍移植動物モデルへと移行する。
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