研究課題
申請者らはHB-EGF-CTFの核移行が胃癌細胞の増殖および浸潤能、また実際のヒト胃癌組織の浸潤程度に相関することを過去に報告したが、そのメカニズムは不明であった。HB-EGF-CTFの核移行を起点とする胃癌細胞浸潤促進メカニズムの解明のため、過去に作成したHB-EGF-CTFが核に移行しないHB-EGF-mC発現胃癌細胞株と、核に移行するwt-HB-EGF発現胃癌細胞株の網羅的比較において発現の異なる複数の遺伝子候補を抽出し、検討を行い胃癌悪性化の一躍を担っている可能性が示唆されるものをみとめた。ADAM12により膜結合型のproHB-EGFが切断されることにより、細胞外領域のHB-EGFは切断・分泌されEGFRのリガンドとして作用する一方、切断された後に細胞内に残るHB-EGF-CTFは、核内へ移行し細胞シグナル伝達物質として作用し細胞増殖や浸潤に寄与する。つまり、HB-EGF-CTFの核移行シグナルはADAM12によりコントロールされており、その核移行を抑制するには、上流であるADAM12の制御が重要である。胃癌切除標本を使用したADAM12の免疫組織化学的検討においては、正常組織に比べADAM12の有意な発現増強をみとめ胃癌において活性化されているHB-EGF-CTFの核移行との関連をみとめた。HB-EGF-CTFの核移行を特異的に抑制することは困難であるため、ADAM12を標的とした治療が今後有用である可能性が示唆された。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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