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2012 年度 実施状況報告書

小腸腺癌の分子生物学的解析と治療法の基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 24590931
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

山田 篤生  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80534932)

研究分担者 平田 喜裕  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10529192)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード癌 / 小腸
研究概要

本研究では小腸腺癌の分子生物学的解析と治療法の基礎的検討を目的とし、小腸癌細胞株(SIAC1株)を樹立した。
H24年度は樹立した小腸癌細胞株の分子生物学的特性を検討した。SIAC1株は単層培養で敷石状に接着依存性に増殖した。また上皮細胞特異的な蛋白CK19やe-cadherinを発現し、線維芽細胞のマーカーとなるαSMAの発現は認めなかった。大腸癌でよくみられる遺伝子変異について検討したがK-ras、BRAFともに野生型で、さらにAPC遺伝子のmutation cluster regionに変異を認めなかった。一方ミスマッチ修復に関わるMLH1、MSH6の発現消失、さらに標的遺伝子となるTGFβRII、BAX、ACVRIIなどのマイクロサテライト配列に変異を同定した。またMLH1の発現低下は脱メチル化処理で回復がみられプロモーターのメチル化の影響が示唆された。小腸の発生や分化に重要であるWnt-βcateninシグナルについて検討すると、本細胞株で活性が増加していた。またβcatenin蛋白に分子量が小さな変異体が確認された。遺伝子について検討すると1アレルでexon3が欠失していた。
続いてSIAC細胞株に対する抗癌剤の効果を検討した。消化器癌の分子標的薬であるTraszumab、Bevacizumab、Cetuximabなどを投与したが、in vitroの細胞増殖の抑制は認めなかった。そのためキナーゼ阻害薬、分子標的阻害薬など140種類の薬剤を用いてSIAC株の感受性試験を行った。10uMでの一次スクリーニングではIKK2阻害薬、ボルテゾミブなど25種類の薬剤で50%以上の増殖抑制を認めた。その後希釈による二次スクリーニングを行い、プロテアソーム阻害薬であるBortezomibと微小間重合阻害薬のEribulinは10nMでも50%以上の増殖抑制効果を示すことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

cDNAライブラリーを用いた癌原遺伝子のスクリーニングには着手できていないが、大腸癌との発癌経路と分子異常の相違を検討できている。
また小腸癌に対する薬剤スクリーニングを実施し、in vitroの解析では効果のある薬剤を選別している。また樹立した小腸癌細胞株のマウス移植実験を開始しており、今後in vitroで効果があった薬剤の効果を検討できると考えるため。

今後の研究の推進方策

まず、現在まで樹立しえた小腸癌細胞株の分子生物学的特性が、臨床的に有用であるか、臨床標本を用いて遺伝子変異や蛋白発現の異常を検討する。
さらに分子生物学的な特性を明らかにするためにあらたな小腸癌細胞株の樹立を試みる。
また新規治療法の樹立として、現在までに in vitroの増殖抑制試験で効果をみとめた薬剤について、ヌードマウスの皮下腫瘍に対する治療効果としてin vivoで検討を行う。現在そのための皮下腫瘍モデルを作成している。
現在までに発見した小腸癌の分子異常(βcateninの欠失変異やTGFβRIIの発現低下など)をマウスの臓器特異的に導入し、これらの遺伝子変異が小腸癌の発生に十分であるか、また必須であるか明らかにする。発癌が見られた場合には上記薬剤で治療効果があるか病理学的に検討する。

次年度の研究費の使用計画

物品の購入費として使用する。
腫瘍の移植などのマウスの購入、維持費用。
治療薬剤の購入費用。
また免疫染色やPCRなどの分子生物学的試薬の購入費用として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 小腸癌-症状、診断から治療まで-2012

    • 著者名/発表者名
      山田篤生
    • 雑誌名

      Modern Physician

      巻: 32 ページ: 886-889

  • [学会発表] Characterization of Small Bowel Adenocarcinoma Cell Line and Evaluation of Anti-Cancer Drug Efficacy Against Small Bowel Adenocarcinoma2013

    • 著者名/発表者名
      Suzuki H
    • 学会等名
      米国消化器病学会週間
    • 発表場所
      オーランド、アメリカ
    • 年月日
      20130521-20130521

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公開日: 2014-07-24  

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