研究課題
本研究では申請者らがこれまでに得られた知見を基盤として独自に研究を展開してきたナチュラルキラー(NK)細胞による特異的受容体/リガンドを介したその細胞傷害活性に着目し、炎症性腸疾患の病態における特異的な免疫学的異常に対する新規治療法の開発基盤樹立を目標とした研究を展開している。その結果、本研究では当該研究期間に以下のような成果が得られた。1)マウスの脾臓からNK細胞を単離し、さらにこのうちAsialoGM1陽性亜集団をFACS soringによって単離しIL-2などのリコンビナント サイトカインの添加など適切な条件下で培養したサブセットを、最終的にエフェクター・メモリーT細胞と混合培養した。その結果、この集団がT細胞の分化や増殖を抑制する機能がある可能性をex vivoの実験系で実証した。2)マウスの脾臓から単離したナイーブT細胞をRag欠損マウスに移入し、腸炎惹起性のエフェクター・メモリーT細胞が誘導されていく過程において、適切な時点で上記のNK細胞サブセットをT細胞集団が再構築されたマウスにさらに移入した結果、実際にin vivoでT細胞の分化・増殖を抑制し腸炎の発症を抑制させることに成功した。これらの成果はこれまで不明確であった各NK細胞サブセットの機能解析を行う上で大きく貢献できるものと思われる。そして炎症性腸疾患の病態において誘導される獲得免疫反応に対し、このNK細胞サブセットがその新規治療法に繋がる可能性を示唆すると考えられ、その開発基盤の樹立に大きく寄与すると期待される。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) 図書 (4件)
Biochem Biophys Res Commun
巻: 456 ページ: 298-304
10.1016/j.bbrc.2014.11.075
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e110270 1-10
10.1371/journal.pone.0110270
Gastroenterology
巻: 147 ページ: 334-342
10.1053/j.gastro.2014.04.008