研究課題/領域番号 |
24590938
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 健司 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00303123)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | siRNA / 線維化 / 糖鎖 / クローン病 / 消化管狭窄 |
研究概要 |
近年抗TNFα製剤の導入によりクローン病に対する治療成績は格段に向上したが、手術原因の最大の合併症である腸管狭窄に対する有効な治療法は依然存在しない。我々はステリック再生医科学研究所と共同で、クローン病線維化原因遺伝子として糖硫酸転移酵素CHST15を明らかにし、ヒトCHST15遺伝子の発現を特異的に抑制するsiRNA医薬「STNM01」を作成した。慢性DSS腸炎マウスに対する内視鏡的STNM01大腸粘膜下投与により線維化病変の治療効果がみられたが、その作用機序には不明な点が存在する。本研究ではクローン病患者のQOLを著しく損なう原因である腸管線維化に対して、糖鎖を標的としたRNA干渉医薬「STNM01」の開発と作用機序解明を目的とする。 平成24年度の計画は「マウス線維芽細胞とヒト線維芽細胞に対する抗CHST15 siRNAによる筋線維芽細胞への分化、およびコラーゲン産生に対する影響を解析する(in vitro 実験)」ことであり、次の解析を行った。①マウス皮膚線維芽細胞およびCCD-18Co細胞にTGF-β刺激を加え活性化状態とした培養系に、抗CHST15 siRNA(STNM01)を添加し、CHST15のノックダウン効率をqRT-PCRで確認した。②上記培養系でコラーゲン産生低下を確認するために、培養上清中のハイドロキシプロリン量を定量し、さらにqRT-PCによりprocollagen, およびコラーゲン産生に重要な分子シャペロンである HSP47の発現の低下を確認した。③上記培養系でTGF-β刺激後、コラーゲン産生、HSP47発現に関係する転写因子をWestern Blotting法で解析中である。 以上より、抗CHST15 siRNA(STNM01)が線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化、およびコラーゲン産生に抑制的に作用することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究体制も順調に機能し、おおむね良好な計画進行である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は検討課題2:「抗CHST15 si RNA治療の慢性DSS腸炎マウス腸管に及ぼす抗線維化作用を、腸管局所の線維芽細胞および筋線維芽細胞に焦点を絞り、その機序を解析する(in vivo実験)」および、検討課題3:「クローン病患者および潰瘍性大腸炎患者の手術検体を用いて、CHST15の発現を蛍光免疫染色およびqRT-PCR法にて検討する(臨床検体における観察」につき、予定通り研究計画を実行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記計画に沿って、平成25年度は110万円、平成26年度は100万円の研究費を用いて、実験を達成し、研究を遂行する予定である。
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