研究課題
近年抗TNFα製剤の導入によりクローン病に対する治療成績は格段に向上したが、手術原因の最大の合併症である腸管狭窄に対する有効な治療法は依然存在しない。我々はステリック再生医科学研究所と共同で、クローン病線維化原因遺伝子として糖硫酸転移酵素CHST15を明らかにし、ヒトCHST15遺伝子の発現を特異的に抑制するsiRNA医薬「STNM01」を作成した。慢性DSS腸炎マウスに対する内視鏡的STNM01大腸粘膜下投与により線維化病変の治療効果がみられたが、その作用機序には不明な点が存在する。本研究ではクローン病患者のQOLを著しく損なう原因である腸管線維化に対して、糖鎖を標的としたRNA干渉医薬「STNM01」の開発と作用機序解明を目的とする。平成25年度の研究計画は検討課題2:「抗CHST15siRNA治療の慢性DSS腸炎マウス腸管に及ぼす抗線維化作用を、腸管局所の線維芽細胞および筋線維芽細胞に焦点を絞り、その機序を解析(in vivo実験)した。慢性腸炎の線維化病変部にはvimentin陽性かつalphaSMA陰性の線維芽細胞と、vimentin陽性かつalphaSMA陽性の筋線維芽細胞が浸潤し、コラーゲン線維を産生することで腸管の線維化狭窄に関与していることを示した。さらにsiRNAの治療によりこれら線維化原因細胞の浸潤を抑制することで腸管の線維化進展を改善していることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
研究体制も順調に機能し、おおむね良好な計画進行である。
今後は検討課題2:「抗CHST15 si RNA治療の慢性DSS腸炎マウス腸管に及ぼす抗線維化作用の解明を完了させるとともに、検討課題3:「クローン病患者および潰瘍性大腸炎患者の手術検体を用いて、CHST15の発現を蛍光免疫染色およびqRT-PCR法にて検討する(臨床検体における観察」につき、予定通り研究計画を実行する予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 図書 (2件)
Int Immunopharm
巻: 18 ページ: 282-289
10.1016/j.intimp.2013.11.018
Mol Nutr Food Res
巻: 57 ページ: 1649-59
10.1002/mnfr.201200540
Cardiovasc Ther
巻: 31 ページ: 352-362
10.1111/1755-5922.12029
BMC Cancer
巻: 13 ページ: 410
10.1186/1471-2407-13-410
Med Mol Morphol
巻: 46 ページ: 141-152
10.1007/s00795-013-0016-1