研究課題
近年抗TNFα製剤の導入によりクローン病に対する治療成績は格段に向上したが、手術原因の最大の合併症である腸管狭窄に対する有効な治療法は依然存在しない。我々はステリック再生医科学研究所と共同で、クローン病線維化原因遺伝子として糖硫酸転移酵素CHST15を明らかにし、ヒトCHST15遺伝子の発現を特異的に抑制するsiRNA医薬「STNM01」を作成した。慢性DSS腸炎マウスに対する内視鏡的STNM01大腸粘膜下投与により線維化病変の治療効果がみられたが、その作用機序には不明な点が存在する。本研究ではクローン病患者のQOLを著しく損なう原因である腸管線維化に対して、糖鎖を標的としたRNA干渉医薬「STNM01」の開発と作用機序解明を目的とする。平成26年度はクローン病患者大腸生検標本におけるCHST15の発現をqPCRと免疫組織染色で評価した。クローン病患者の活動性病変部の大腸粘膜では非活動性病変部に比べ、粘膜固有層に浸潤している単核球細胞にCHST15陽性細胞が多く観察され、CHST15の発現も増強する傾向がみられた。これまでの慢性DSS腸炎の解析結果でも炎症部でCHST15陽性細胞が増加しており、STNM01によりこの腸炎および線維化を改善できたことから、ヒトクローン病においてもCHST15の発現がクローン病の病態形成に重要な働きをしており、この分子の制御によりクローン病治療効果が得られることが期待された。
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