研究課題/領域番号 |
24590940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90252395)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
市販されているATI測定キットのほとんどが、プラスチックプレートやプラスチックビーズに固相化したインフリキシマブで抗インフリキシマブ抗体(ATI)を捕捉し、この捕捉されたATIをペルオキシダーゼ標識インフリキシマブと反応させてdetectする方法がとられてきた。ただ、これらの方法では、血中にフリーのインフリキシマブが存在すると、ATIのインフリキシマブ結合部位が、標識インフリキシマブの結合前にフリーのインフリキシマブで占拠されることになる。すなわち、標識インフリキシマブがATIに結合できないため、ATIが存在するにもかかわらず結果は陰性となってしまう。結局、インフリキシマブトラフ濃度が有効域にある場合ATI陰性の結果が得られたとしても偽陰性の可能性があるために、従来の方法では判定不能と判断されてきた。われわれは、既報の方法の問題点を解決する新たな方法を開発し臨床応用している。まず、血清中で免疫複合体を形成しているインフリキシマブ-ATI複合体をprotein-Aビーズで捕捉し酸性緩衝液で処理することにより、インフリキシマブとATIを解離する。解離したATIをプラスチックプレートに固相化し、これをペルオキシダーゼ標識インフリキシマブでdetectする。58人のクローン病患者についてインフリキシマブトラフ値を含め検討したところ、従来の方法では、ATI陽性2人(3.4%)、陰性15人(25.8%)、判定不能41人(70.7%)であった。一方、我々の方法では、陽性16人(27.5%)、陰性42人(72.4%)であった。従来法で判定不能とされた患者のうち12人にATIが存在し、一方、従来法で陽性とされた2人は、我々の方法で非常に高値のATIを認めた患者であった。実際、従来法で判定不能であったサンプルからIgGを分離し酸性処理することによりATIが存在することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は目標を十分達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、他の抗TNF-α抗体たとえばアダリムマブのアッセイ系を確立し、炎症性腸疾患患者の個別化治療の確立を目指していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗TNF-α抗体を購入し、そのアッセイ系確立のための物品の購入、論文の作成校正代などにあてる。
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