研究課題
マウスに大腸指向性の変異原Azoxymethane (AOM) 2.5mg/kgを腹腔内投与後、2.5%デキストラン硫酸 (DDS)の経口投与(1週間投与:2週間休薬)を3サイクル繰り返すことにより、炎症性大腸癌を誘導した。野生型(WT)マウスとRal-GAP遺伝子欠損マウスでは、腫瘍個数、腫瘍径には差が認められなかった。しかしながら、Ral-GAP遺伝子欠損マウスに認められた腫瘍はSM浸潤をきたす傾向が強いことが明らかとなった。また、すでにヒト炎症性腸疾患患者検体を用いた予備解析において、大腸粘膜におけるRalの遺伝子発現は非炎症部位、炎症部位、炎症性腸疾患関連腫瘍性病変の順に増強することが見出されている。一般に、Colitis-associated cancer(CAC)は、早期から深部浸潤の傾向特徴を有する。以上のことから、Ralの発現増強が CACが有する深部浸潤能に関与することが示唆された。現在、上記の現象についてその機序解明に取り組んでいる。免疫学的な検討:Ral-GAPKOマウスでは、定常状態でIL-12を始めとする炎症性サイトカインの発現が大腸粘膜で増強していることが明らかとなった。しかしながら、腸炎が誘導されない定常状態では、WTマウスとRal-GAP遺伝子欠損マウスの間では病理学的な差は認められない。つまり、Ral発現増強により、腸管局所にはmicroscopic inflammatonが常に生じており、本結果はRalGAPKOマウスの腸管粘膜状態が、人炎症性腸疾患患者の臨床的寛解期における腸管粘膜の状態と似ている結果を示唆するものとなった。現在、両マウス腸内細菌叢の差異をも検討している。
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