炎症性大腸癌機序における低分子量GTP結合蛋白Ralの役割を検討した。Ral-GAPα2 KOマウス(Ralが活性化されている)では大腸粘膜内の炎症性サイトカインの発現が上昇していた。IL-10Ral-GAPα2 Double KOマウスでは、IL-10KOマウスに比し早期に腸炎が誘導された。さらに、RaGAPα2 KOマウスを用いてazoxymethane +デキストラン硫酸投与による炎症性大腸癌誘導モデルを作製した。野生型マウスに比べ、RaGAPα2 KOマウスでは浸潤型大腸癌が多く観察された。以上より、Ralの活性化は自然免疫系ならびに、大腸腫瘍の浸潤能獲得に関与することが示唆された。
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