研究実績の概要 |
1) 拡大内視鏡を用いたヒト大腸 ACFの観察, 生検:色素拡大内視鏡によりリアルタイムにヒトACFを観察, 生検した. 2) ヒトACFの自然史解析:ヒト大腸ACFは内視鏡で経過観察することにより時間経過による自然史を追うことが可能となり結果を報告した. 3) 大腸腫瘍とアディポサイトカインの因果関係の解析を行った。大腸発がんと血清レプチン値は相関し血清アディポネクチンは逆相関することを報告した(Takahashi H. Cancer Sci. 2009). 内臓脂肪と大腸発がんは相関し, これにアディポサイトカインは重要な役割を果たしていることが考えられる. アディポサイトカインの血清値および正常大腸上皮, 腺腫, がんにおける受容体以降のJAK/STAT経路, PI3K/AKT経路, Ras/Raf/MEK/ERK経路などの増殖シグナル, 発がん経路を免疫組織化学的に解析し, さらに蛋白・遺伝子レベルでの解明を検討する. 4) メトホルミンの大腸発がん抑制作用の検討を行った。ヒトACFをサロゲートマーカーとしたメトホルミンの腫瘍抑制作用をパイロットスタディーで確認した (Hosono K. Cancer Prev Res. 2010). この知見を踏まえ, 多施設共同前向き無作為化比較試験を行い, 臨床応用を目指す (Higurashi T. BMC Cancer. 2012). 150例のエントリーが終了し, 現在解析中である. 5) 大腸腫瘍切除後サーベイランスを目指したヒトACFの妥当性を検討する。大腸がん早期発見に向けサーベイランスの適正間隔や, 高リスク群の絞り込みにACFが有用であるか妥当性を検討する. ACFは, 発がんモデルマウスでは前がん病変として確立しているが, ヒトにおいては前がん病変であるかはいまだ一定の見解はない. マウスで得られた知見をヒトに応用するためには, 病変の整合性を正確に確認する必要がある. ACF数の多い症例では腫瘍再発頻度が高いことをすでに確認しており, 臨床の現場に還元することを目標とする.
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