研究課題/領域番号 |
24590950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
富永 和作 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80336768)
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研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40285292)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336773)
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145779)
谷川 徹也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423879)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腸管グリア細胞 / 腸管過敏性 |
研究概要 |
・幼少期単発ストレスとして母子分離モデルを用いた大腸グリア細胞の発現動態と経時的形態変化 出生直後の子ラットが受けたストレス負荷が、成長過程におけるEGC成熟に与える影響について検討した。その際には、既報にある母子分離モデルを使用した。母子分離の方法は、出生2日目から14日目までの期間、1日のうちある一定の3時間、子を母親ラットから別ゲージへ分離するものであり、分離時間帯以外は母親と同ゲージでの通常授乳飼育を行うものである。その後、22日目でweaningし離乳期を経る。成熟期ラットにおいて、幼少期ストレス環境がもたらすENS成熟への影響について、大腸グリア細胞を中心に発現動態や形態的変化について、上記1)で示した非ストレスによる成長過程を経たラットと経時的に比較検討を行った結果、グリア細胞蛋白の発現は、約1.5倍程度の増加に過ぎなかった。元来神経細胞を取り巻くようなグリア細胞は、その中心部に向かって突起を伸長している様子が形態学的変化として捉えら得た。伸長したグリア細胞は、filament型からsprout型へと変化し、その割合は2倍に増加し、先端面積も2倍に増加した。 ・母子分離による幼少期ストレス負荷と、成熟期ストレスとの二重負荷に対する大腸グリア細胞の発現動態とその経時的形態変化 幼少期のストレス負荷と、成熟時期における水回避ストレス負荷等による二重負荷によって、filament型からsprout型への変化は約6倍へとさらに増加し、その面積も2.5倍に増加することが判明した。以上のことから、幼少期ストレスは、成長期においても大腸グリア細胞の形態的変化として残存し、その変化はさらなるストレス負荷にて増強することも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物使用において、2種のストレス負荷は腸管、特に大腸組織における筋層間神経叢に存在するグリア細胞において、形態的変化として影響することが示され、その変化幼少期ストレス負荷において成人期においても残存すること、さらにはその変化が成人期における異種ストレス負荷においても、増強することが確認された。これら形態変化は、共焦点顕微鏡におけるwhole mount標本を用いたものであり、その手技の確立のみならず、差異についても一定の見解を持って言及できるくらいにまで解析できたことから、順調な進捗と考えています。
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今後の研究の推進方策 |
腸管神経叢を背景にしたグリア細胞の形態的変化が、神経系構成全体に与える影響が想定されるが、その評価のためには腸管機能など神経刺激での評価系が必要となる。従って、今後の方策として、神経刺激-腸管機能評価系を確立することと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
機能評価として、腸管収縮反応を念頭におきマグヌス管を使用し、液性因子としてムスカリン受容体のアゴニストであるアセチルコリン刺激による反応性の差異、さらには神経電気刺激などによる収縮反応における変化など、ストレス負荷状況下でみるこれら変化でもって、解析して行く予定にしている。
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