研究課題/領域番号 |
24590950
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
富永 和作 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80336768)
|
研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40285292)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336773)
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145779)
谷川 徹也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423879)
|
キーワード | グリア細胞 / 腸管運動 / 腸管神経系 / ストレス環境 |
研究概要 |
・幼少期単発ストレスとして母子分離モデルを用い、成熟期ストレスとの二重負荷による大腸グリア細胞の継時的な形態変化 既報にある母子分離の方法は、出生2日目から14日目までの期間、1日のうちの同一の3時間、子を母親ラットから別ゲージへ分離するものである。まず、単位神経節あたりに存在する平均神経細胞数には、ストレスの影響は認められず、コリン作動性神経とNO作動性神経における全細胞体数に占める細胞体数の割合についても変化は認めなかった。グリア細胞蛋白の発現は、約1.5倍程度に増加し、組織学的なグリア細胞の数も同様に1.5倍の増加を示した。元来神経細胞を取り巻くようなグリア細胞は、その中心部に向かって突起を伸長している様子が形態学的変化として捉えられ、神経細胞体に対する伸長してきたグリア細胞による被覆面積は、コントロール10%程度に対して、ストレス負荷群では45%へと増加していた。この幼少時に受けたストレスでの変化は、48週令になっても、持続していることも判明した。しかし、成熟期に受けた急性の単発ストレス負荷でも同様のグリア形態変化を示すことが認められたが、ストレス解除後には比較的速やかに元の状態へと改善してくることも判明した。 ・幼少期単発ストレスとして母子分離モデルを用い、成熟期ストレスとの二重負荷による大腸腸管運動機能変化 これら腸管を摘出し、腸管平滑筋収縮を惹起する最終の作動物質であるアセチルコリンによる収縮反応について評価した結果、ストレス負荷の強度に応じて、収縮反応の亢進状態つまり収縮過敏反応性が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用動物に対するストレス負荷における安定性と、その後の実験手技(形態的評価と機能評価)の確立はすでに終了し、今後の神経系刺激実験へと進めていくことが、可能な状況へとなってきたと考えています。
|
今後の研究の推進方策 |
腸管神経系において、構成成分である腸管神経とグリア細胞が、ストレス環境において受ける影響についであるが、神経系への増加あるいは関連神経細胞比率に影響せず、グリア細胞数やその突起変化が顕著であることから、腸管収縮反応亢進作用はグリアからの修飾が関与している可能性が強く示唆され、そのことを証明するためには電気的神経刺激による腸管収縮反応系からみたグリア細胞の影響について評価する必要性があり、今後その方向性での解析を予定している。
|