研究課題/領域番号 |
24590952
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
守時 由起 秋田大学, 医学部, 講師 (90585522)
|
研究分担者 |
茆原 順一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80197615)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 原発性胆汁性肝硬変 / マウスモデル / B細胞 |
研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変では90-95%の症例にて自己抗体である抗ミトコンドリア抗体が血清中に認められることから、B細胞の免疫異常が病態に大きく関与していると考えられている。原発性胆汁性肝硬変においてB細胞は病態の増悪と関連していると多くの研究者が推測されていたため、我々は自然発症の原発性胆汁性肝硬変モデルマウス(dnTGF-βRIIマウス)における遺伝子的B細胞除去による原発性胆汁性肝硬変の改善の可能性を想定した。しかし、B細胞除去により原発性胆汁性肝硬変様の肝臓炎症は増悪し、活性化CD4陽性、CD8陽性T細胞の割合も肝臓内で増加した。炎症抑制において重要な役割を担う制御性T細胞の割合も肝臓内で減少する一方、IL-6, TNF-αなどの炎症性サイトカインの上昇も伴っていた。また、腹腔内B細胞は抑制性T細胞を介した肝臓炎症抑制機能とは異なった機序での炎症抑制機能を有することが示唆され、アメリカ消化器病学会誌 Gastroenterology に報告してきた。 上記研究から炎症反応を抑制する制御性B細胞の存在が確認されたため、本研究では、原発性胆汁性肝硬変動物モデルマウスにおいてInterleukin(IL)-10産生制御性B細胞の体内分布の時間的変化、 CD8+T細胞移植肝臓炎症モデルにおける炎症抑制メカニズム検討し、抗マウスCD20抗体による同モデルマウスの治療反応性との関連性の検討を進める。またIL-10産生制御性B細胞の自己抗体産生能を検討し、炎症抑制・促進機能のバランスから、ヒトB細胞標的療法においてより有効性と安全性の高い治療戦略の提言を目指している。現在IL-10産生細胞を同定可能な原発性胆汁性肝硬変動物モデルマウスの作成を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IL-10産生細胞を同定可能な原発性胆汁性肝硬変動物モデルマウスの作成を進めていたが、妊孕性低下のため交配が困難となり、再度モデルマウスの作成を余儀なくされたことから、実験計画の遂行がやや遅れている。しかし、その後、第一世代のheterogeneousなモデルマウスの作成は順調に進んでおり、homegeneousなモデルマウスの完成を待って、種々の検討に進めるべく、Multicolor Flow Cytometryセットアップ、Cell Sortingセットアップなども行っていることから、今後の検討に大きな支障はないと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
IL-10産生細胞を同定可能な原発性胆汁性肝硬変動物モデルマウスの作成を進めていたが、妊孕性低下のため交配が困難となり、再度モデルマウスの作成を余儀なくされたことから、実験計画の遂行がやや遅れていたが、その後、モデルマウスの作成は順調に進んでおり、モデルマウスの完成を待って、種々の検討に進める。共同研究者との連携も取れており、今後の検討に大きな支障はないと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
CD8+T細胞移植肝臓炎症モデルにおいてIL-10産生B細胞(およびIL-10産生CD8+T細胞)をトレーサー染色後にRag-1-KOマウスに移入し検討するために使用する、移入細胞トレーサー染色試薬試薬を購入予定であったが、使用時期を勘案して購入を延期したため、次年度に購入する予定である。
|