研究課題/領域番号 |
24590953
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
邵 力 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80344787)
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研究分担者 |
渡辺 久剛 山形大学, 医学部, 講師 (00332536)
石井 里佳 山形大学, 医学部, 助教 (60466612)
張 旭紅 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10292442)
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キーワード | 肝がん / microRNA / 分子標的治療 / 診断マーカー |
研究概要 |
当初の本研究計画では、主に、miR-224を標的とした分子標的肝癌治療薬の開発、およびmiR-224の肝癌転移におけるバイオマーカーへの応用を目指していた。昨年度、転移のある肝癌患者と転移のない患者において血中mir-224のレベルを比較したところ、血中miR-224はどちらとも極めて低いレベルであり、肝癌転移の診断マーカーとしての展開可能性は低いと考えられた。その結果を受けて、本年度は、miR-224を標的とした分子標的肝癌治療薬の開発を重点的に検討した。癌浸潤転移モデルを作製するために、miR-224を高発現するヒト肝癌細胞株HLFをヌードマウスの皮下あるいは腹腔内に接種し、マウスモデルの作製を試みた。まだ進行中であるが、HLF肝癌細胞の転移性の不確定性が示唆されたため、今後マウスの皮下腫瘍モデルを用いてantagomir-224の癌浸潤抑制効果を評価する。さらに、miR-224の肝細胞癌の浸潤抑制のメカニズムを解析したことにより、HGF/c-MET経路がmiR-224の機能維持に深く関連することが判明した。今後、そのシグナル伝達系である一つの分子標的を阻害し、さらにmiR-224の癌浸潤抑制効果を促進させることを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)計画通りに、転移のある肝癌患者と転移のない患者において血中mir-224のレベルを比較・検討した。 2)癌浸潤転移モデルを作製するために、miR-224を高発現するヒト肝癌細胞株HLFをヌードマウスの皮下あるいは腹腔内に接種したが、HLF肝癌細胞の転移性の不確定性や観察評価の困難があったため、マウスモデルの作製が計画により遅れている。そのため、モデルを用いたantagomir-224の生体への最適な導入条件の検討も年度内に行えなかった。 3)研究の進捗・結果を踏まえて、新たにmiR-224の肝細胞癌の浸潤抑制のメカニズムを追加解析したところ、HGF/c-MET経路がmiR-224の機能維持に深く関連することが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの皮下腫瘍モデルを用いてantagomir-224の癌浸潤抑制効果を評価する。 1) in vitroでの導入によるantagomir-224の抗腫瘍効果の評価:ヌードマウス30匹を3群に分け、naive及びmiR-224 inhibitor, control inhibitorを導入したHLFをマウスの頸背部皮下に移植する。8週間経過したら、腫瘍のサイズを測定、及び転移の有無を観察し、antagomir-224の腫瘍抑制効果を確認・評価する。 2) in vivoでの導入によるantagomir-224の抗腫瘍効果の評価: HLF細胞をヌードマウス(60匹)の頸背部皮下に移植する。腫瘍の長径が100mmに達した時点で四つの実験群に分け、無処置、control inhibitor投与、miR-224 inhibitor投与、miR-224 inhibitor/ HGF/c-MET経路阻害剤投与(腫瘍周辺に注入、2回/週x3週)それぞれの処置を行う。投与終了1週後に腫瘍のサイズを測定、及び転移の有無を観察し、antagomir-224の腫瘍抑制効果を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス癌浸潤転移モデルの作製が計画によりやや遅れているため。 1)ヌートマウスと飼育費 800,000円 2)標本製作関連試薬と分子標的阻害剤 364,924円
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