研究実績の概要 |
オーバル細胞増殖の実験モデルである0.1%の3,5-diethoxycarbonyl-1,4-dihydrocollidine (DDC)を含有した食餌を用い、核内受容体CAR 及びPXR のKO、WT マウスで検討を行い、CAR のKO マウス以外のすべてのマウスにおいてDDC 含有食による肝障害、オーバル細胞増殖を引き起こすことを見出した。DDC 含有食によりCAR は細胞質から核内へ移動し、標的遺伝子であるCYP2B やGADD45 を誘導することを見出した。また、レーザーマイクロダイセクションを用いてWT マウス肝での中心静脈域および/あるいは門脈域で特異的に発現し、CAR により調節される遺伝子の解析を行い、門脈域でのCAR の活性化がオーバル細胞増殖に関与することを報告した。 さらに肝細胞障害性のオーバル細胞増殖の実験モデルである0.165%エチオニン添加水コリン欠乏(CDE)食を用いCAR のKO、WT マウスで検討し、CDE 食により、CAR は活性化され、標的遺伝子であるCYP2B やGADD45 を誘導することを見出した。しかし、DDC 含有食と異なり、KO、WT マウス共に肝障害、オーバル細胞増殖は認められた。肝前駆細胞あるいは胆管上皮細胞のマーカーであるEpCAM 抗体を用いた免疫染色による解析の結果、KO、WT マウス間でのEpCAM 陽性細胞(胆管上皮細胞+肝前駆細胞増殖)の増加に有意な差は認めらなかった。平成28年度は再度CDE食によるオーバル細胞増殖の実験を行ったが同様の結果を確認した。
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