研究概要 |
【目的】肝癌, 膵癌における小胞体(ER)ストレスおよびアンドロジェンレセプター(AR)シグナリングの相互作用の分子メカニズムを解明し, 発癌, 進展における役割を明らかにする.また肝細胞自然免疫がERストレスおよびPARP切断に与える影響を検討する.【方法】1) Stat3およびARをknock-downした肝細胞を得るために, short hairpin RNA発 vectors psh-Stat3, psh-AR, psh-control(コントロールvector)をHepG2に遺伝子導入する. Stat3, ARの発現およびERストレス関連分子の発現をreal-time RT-PCRおよびWestern blottingにて確認する. 2) Thapsigarin (Tg)によりERストレスの誘導を行なう. 3) HCV JFH1の感染によるERストレスの誘導を行なう. 4) LPS投与によるGRP78誘導, PARP切断をはじめとする肝細胞アポトーシスに与える影響を検討する.【成績】1) HepG2-sh-control, HepG2-sh-Stat3, HepG2-sh-ARを作成した. HepG2-sh-ARではERストレス関連分子の発現が低下していた. 2) HepG2-sh-ARではTgによるERストレス誘導も低下していた. 3) Huh7にHCV JFH1を感染させるとGRP78をはじめとするERストレス関連分子の発現低下がみられた.4) LPSによりGRP78をはじめとするUnfolded protein response (UPR)の低下がみられ, PARP切断がみられた.またGRP78の強制発現により改善した.【結論】UPRは自然免疫による肝細胞障害に重要な役割を果たしている. またARシグナル伝達がUPRに影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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