研究課題/領域番号 |
24590956
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (60240305)
|
研究分担者 |
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
|
キーワード | microRNA / インターフェロン / エピジェネティクス |
研究概要 |
IFNシグナルの増強効果をもたらすmicroRNAの同定を目的として、microRNA library を用いてIFNシグナルを制御するmicroRNAを同定した。IFN sensitivity response element (ISRE)にluciferase遺伝子を連結したレポーターコンストラクトを恒常的に発現する細胞を樹立した。これを用いて、800種のmicroRNAそれぞれを 96-well plate でreverse transfection し、IFN刺激のうえluciferase a ctivity の変化を検討した結果、microRNA122が 強くIFNシグナル作用を抑制することを同定した。そこで、レンチウイルスを用いたmicroRNA122機能的ノックダウン細胞株を樹立した。microRNA122の機能については luciferase 遺伝子の下流5’UTRにmicroRNA122の標的配列を組み込んだレポータ ーコンストラクトを作製し定量することにより確認した。コンピューターサーチによるmicroRNA122の直接の標的候補因子群にはIFNシグナル系に関与することが予想される遺伝子は見られないため、他の機序を介してIFN作用を制御している可能性が考えられた。そこで上述のノックダウン細胞を用いて、まずエピジェノミックの変化、特にDNAのメチル化状態の変化をIllumina社のBeadchipを用いてゲノムワイドに検討した。その結果 SOCS3のpromoter領域が強くメチル化されSOCS3の発現が低下していることが示された。この結果はIFNとmiR122のノックダウンを併用するとIFNシグナルの作用が増強する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IFNシグナルを増強するmicroRNAとしてmiR122を同定し、その分子機構として、いわゆるmicroRNAの作用とは異なるゲノムのメチル化変化を介した、SOCS3の発現調節という新しい機構を同定した。
|
今後の研究の推進方策 |
SOCS3の発現がmiR122のノックダウンでなぜ変化するのかを検討するとともに、miR122の機能または発現を変化させうる方策を今度同定し、IFNとの併用に役立てていくよう検討を加える。
|
次年度の研究費の使用計画 |
マウスの繁殖が予想以上に遅かったため、マウス飼育費として計上していた床敷や食餌代の一部が来年度に繰越となった。 マウスの繁殖がなされてきたため、実施時期が次年度にずれ込んだが予定通りマウス飼育費として使用予定である。
|