研究課題
本研究は、患者体内における変異HCVの存在と消長をultra-deep sequenceを用いて詳細に検討することにより、HCV遺伝子の臨床的意義を明らかとし、患者ごとに適切な治療戦略を提供することを目標として行った。H25年度までは TVR+PEG-IFN+RBV療法における治療前のNS3領域自然耐性HCVの存在と臨床的意義、さらにNS5A領域の自然耐性HCVの存在と臨床的意義について報告してきた。最終年度であるH26年度は、これまでの解析に詳細な系統樹解析を含めた検討を行ったほか、SMV+PEG-IFN+RBV3者併用療法、PEG-IFN+RBV2者併用療法、あるいは自然経過症例における NS3領域のquasispeciesの動態変化について検討した。その結果、TVR+PEG-IFN+RBV症例導入後わずか12時間後にウイルス多様性は、SVR群あるいはIL28B TT群では低下するものの、non-SVR群あるいはIL28B非TT群では低下を認めないことを示した。治療前から既に混在したTVR耐性変異は臨床的TVR耐性には移行せず、臨床的TVR耐性変異は治療前の野生型に新たに変異を獲得して生じたことを示した。Non-SVR群において治療抵抗性となるに伴い、ウイルスのquasispecies構成は大きく変動し、治療終了後もquasispecies構成変化は治療前には戻らず維持されることを示した。このようなウイルスの挙動は、SMV+PEG-IFN+RBV3者併用療法においても同様であったが、PEG-IFN+RBV2者併用療法、あるいは自然経過症例では、経過中大きな変動を認めなかった。本検討によって、耐性の起源や治療に伴うquasispeciesの動態変化を明らかとしえた。患者ごとに適切な治療戦略を提供する上で本検討は有用と考えられた。
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