アルコール性肝障害は、エタノール自体による肝毒性のみではなく、免疫異常が発症要因となっている。NKT細胞はCD1dを認識する免疫細胞であるが、アルコール性肝障害の病態形成への関与も推定されている。一方、プロテインSは肝で産生されるビタミンK依存性蛋白であるが、凝固阻害の他、アポトーシス抑制作用が注目されている。 今回、臨床的・基礎的研究を施行し、急性アルコール性肝障害では、プロテインSの産生亢進、エタノールによる肝細胞のCD1d発現亢進、過剰なプロテインSによるNKT細胞のアポトーシス抑制が相互に作用し病態を形成し、プロテインSの制御がアルコール性肝障害の治療ターゲットとなり得ることを見出した。
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