研究課題
我々は糖鎖とアディポサイトカインに着目してNASHの病態解析および新規バイオマーカー開発を行った。本研究でアディポサイトカインsecreted frizzled related protein 5 (Sfrp5)欠損が肝臓線維化を進展させることを明らかとし、またフコシル化ハプトグロビン、Mac-2 binding protein(Mac2bp)、フェチュインAが新規NASHバイオマーカーとなることを見いだした。四塩化炭素誘発肝線維化モデルを用いた検討ではSfrp5 KOマウスでWTマウスに比べ肝線維化進展が有意に増悪した。In vitroの検討ではWnt5aにより肝星細胞の遊走・増殖が促進され、Sfrp5はそれらを完全に抑制した。C-jun N terminal kinase (JNK)リン酸化は肝線維化を促進的に作用することが知られている。Wnt5aは肝星細胞のJNKリン酸化を起こすがSfrp5はこれも抑制した。以上の検討により、新規アディポサイトカインSfrp5はWnt5aの作用を阻害することで肝線維化を抑制することが明らかとなった。糖鎖バイオマーカー開発のためまず肝生検で組織診断のついている127名のNAFLD患者血清を用いて血中Fuc-Hpt、Mac2bpを測定した。これら2つのマーカーはNASH鑑別診断において従来有用性が最も高いとされているcytokeratin 18 fragmentよりも鑑別能が優れていた。一方血中フェチュインA値は代表的肝臓線維化マーカーであるヒアルロン酸値と逆相関し、肝臓線維化進展と逆相関することがすでに知られている血小板数と正の相関を示した。肝生検NAFLD症例では線維化の早期の段階で血中フェチュインA値が低下することがわかった。
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