研究概要 |
膵癌臨床検体についてREIC発現を免疫組織染色により検討したところ、66.7%(14/21)において発現低下が認められた。 また膵癌細胞株ASPC1,MIAPaCa2,Panc1,BxPC3,SUIT2,KLM1,T3M4を用い、REIC発現をウエスタンブロット法により確認した。いずれの膵癌細胞株においてもREIC発現は低下していた。アデノウィルスベクター(Ad-REIC)を用いてREICを強制発現させ、細胞数をMTT assayで、細胞死をHoechst染色により評価した。細胞数は減少し(ASPC1;33.5±7.8%, MIAPaCa2;48.9±26.6%)、アポトーシスが亢進した(ASPC1;292.8±54.6%, MIAPaCa2;365±110.2%)。ヌードマウス皮下に膵癌細胞株ASPC1を2×106/100μL接種し、翌週Ad-REICを局所投与し、腫瘍のサイズを経時的に評価した。Ad-REIC投与群ではコントロール群と比較して70.6±16.6%の有意な腫瘍縮小を認めた。 また膵臓癌細胞株へのREIC導入により、c-Jun N-terminal kinase pathwayの亢進が認められ、アポトーシス亢進に関与しているものと考えられた。さらに、mTOR pathwayへのfeedbackにより、autophagyを抑制している可能性が示唆された。 上記の研究結果は、第44回日本膵臓学会大会(2013年7月 於:仙台)において発表し、Young Investigator Awardを受賞した。さらにJournal of Gastroenterology and Hepatology 29: 973-983, 2014に掲載された。
|