研究課題
メタボリック症候群の発症・進展には肥満の内臓脂肪組織における慢性炎症を基盤としたインスリン抵抗性が関与している。我々は、B細胞活性化因子(BAFF)が脂肪組織から分泌されるアディポカインであることを同定した。また、昨年度までに脂肪細胞でのBAFF発現に酸化ストレスが関与していることを示した。さらに、BAFF-Rノックアウトマウスは高脂肪食で飼育すると野生型に比べてインスリン抵抗性が改善することを示した。これらの研究を継続する中で、予想に反して高脂肪食飼育(8-12週)下のBAFF-Rノックアウトマウスは肝脂肪化が増悪することが明らかとなった。本年度は培養肝癌細胞(Hepa1-6細胞)を用いてBAFFの肝脂肪化への直接的な影響を解析した。①初代培養肝細胞、Hepa1-6細胞にはBAFF-Rが発現していた。②Hepa1-6細胞にrecombinant BAFFを添加するとNF-kB、とくにNF-kB2 pathwayの活性化がみられた。また、BAFFの添加により、脂肪合成系遺伝子(FAS, ACC、SCD-1)の発現が低下した。これらの変化はBAFF-R Fcの添加により抑制された。③Hepa1-6細胞に脂肪酸(オレイン酸)を負荷すると、肝細胞の脂肪化が誘導され、中性脂肪濃度が増加する。この培養系にBAFFを添加すると中性脂肪合成は抑制された。これらの結果から、BAFFは肝細胞の脂肪化抑制に直接的に関与することが示された。
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