研究課題
【低酸素誘導因子(HIF-1)誘導によるsorafenib抵抗性に対するvitamin K2(VK2)の効果の検討】肝癌のsorafenib抵抗性の原因として低酸素誘導因子(HIF)が関与する。我々は肝癌細胞Huh7においてprotein kinase C(PKC)刺激剤TPAがHIF活性化を3倍増強することを見出した。PKC活性を抑制するVK2はPKCによるHIF活性化を濃度依存性に抑制した。さらにPKCによるHIF活性化にはPKCδが関与していた(投稿中)。次にsorafenibによる肝癌細胞増殖抑制作用は低酸素環境下で減弱するが、VK2によりその増殖抑制が回復することを確認した。PKCδ阻害剤でも同様の作用がみられ、PKCδの関与が示唆された。以上より、VK2は低酸素下でのsorafenib抵抗性を解除する作用を持ち、この作用はPKCδを介している可能性が示唆された。【進行肝細胞癌に対するsorafenib+VK2併用療法の検討】sorafenib+VK2(45mg/日)群(SK群)13例と、ケースマッチさせたsorafenib単独治療(S群)26例を対象とし、抗腫瘍効果(ORR: objective response rate, DCR: disease control rate)、無増悪期間(TTP)、全生存期間(OS)および有害事象(AE)について比較検討した。ORRはSK群9.1%、S群9.1%、DCRはSK群45.5%、S群43.3%と有意差なく、TTPに関してもSK群1.8、S群2.0ヶ月(中央値)と有意差は認めなかった。しかしSK群に長期生存者が多く、OSでは有意にSK群で良好であった(p<0.05)。AEに関してはgrade3以上のものがSK群で有意に少なかった(p<0.05)。以上より、進行肝細胞癌に対するsorafenib+VK2併用療法はsorafenib単独と比較しOSを延長させ、grade3以上のAEを減少させる可能性が示唆された。
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Cell Signal
巻: 26 ページ: 603-610
10.1016/j.cellsig.2013.11.038