研究課題
基盤研究(C)
申請者らはpreliminaryながら肝癌患者でMutyh SNP(rs3219487)のhetero/minor homo形質が有意に検出されること、ならびにこのminor allele保有者の肝発癌率はmajor homo形質保有者のそれに比べて有意に高いことを新たに見出していたが、rs3219487がintron SNPであるため、その差異がもたらす機能異常は不明であった。平成24年度は97例のC型慢性肝炎患者より末梢血単核球と肝組織を採取し、hetero/minor homo形質保有者の肝発癌率とMutYH活性自体の差違について検討した。その結果hetero/minor homo形質保有者の肝発癌率はmajor homo形質保有者と比較して有意に高く(logrank test; p=0.0027)、hetero/minor homo形質保有を含めた背景因子比較によってrs3219487が独立した肝発癌危険因子であることを明らかにした。また、minor allele配列が有意にMutyh活性を低下させることも明らかにした。さらに次世代シークエンサーを用いてMutYHの他のSNPを解析し、邦人においてはrs3219493とrs3219489のminor allele保有が一定頻度認められるものの発癌には関与してoおらず、rs3219487との間に連鎖不平衡が存在しないことも確認した。MutYH KOマウスについては交配により得たヘテロマウス同士を交配したホモ欠損マウスを作製できている。
2: おおむね順調に進展している
当該年度は1)慢性肝炎症例の数を増やし検体を採取して、hetero/minor homo形質保有者のMutYH mRNA発現の低下を確認し、さらにMutYH活性自体の差違についても検討する。2)このSNPがMutYH発現異常を惹起する機序のうち、酵素活性の変動を明らかにする。2)MutYH全SNPの頻度と肝発癌との関係を明らかにする。4)MutYH KOマウスを作成することを目的とし、いずれも計画どおりに進展している。
Mutyhヘテロ欠損雄マウスの供与を九州大学より受け、C57BL/6J雌と交配し、PCRによりヘテロ欠損雌雄を確認し系統維持を行なっている。交配により得たヘテロ同士を交配して得たホモ欠損雄マウスも確保できている。今後は鉄過剰食( 鉄450mg/kg diet)群、鉄過剰食+鉄キレート剤投与(鉄450mg/kg diet + ICL-670 30mg/kg/day)群ならびに通常食群(コントロール)において約12か月間にわたり、腫瘍の発生を観察する。鉄過剰食による組織へのラジカル負荷、DNA損傷ならびに発癌へのMutYHの関与の有無と鉄キレート剤の発癌抑制効果を証左する。鉄過剰食群における 鉄分450mg/kgと、鉄キレート剤ICL-670 30mg/kg/dayは食餌に追加し投与する予定である。また該当SNPの配列の違いによるMutYH転写活性差異とMutYH発現に関わる転写因子の特定を行うとともに、miRNA等の関与についても検討を加える。
該当なし
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件)
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