研究課題
平成25年度は九州大学より提供を受けたMUTYHヘテロ欠損雄マウスをC57BL/6J雌マウスと交配し、PCRによりヘテロ欠損雌雄マウスを確認、それらを交配して得たホモ欠損マウスとヘテロ欠損マウスならびにC57BL/6J雄マウスに対して鉄過剰食(鉄450mg/kg diet)群、鉄過剰食+抗酸化薬投与(N-acetyl cysteine)群ならびに通常食群(コントロール)において12ヶ月間にわたり腫瘍発生を観察した。その結果、6ヶ月および9ヶ月経過時点では肝発癌が認められなかったが、12ヶ月経過時点で、MUTYHホモ欠損マウスの鉄過剰食群で有意に肝発癌率が上昇していた。一方コントロール群では肝発癌が認められず、ヘテロ欠損マウスでは鉄過剰食群でホモ欠損マウスの約半分の肝発癌率が認められた。MUTYHホモ欠損マウスに生じた肝癌では非癌部に比べて酸化的DNA損傷の指標である8-hydroxy deoxy guanosine (8-OHdG)が有意に多く検出され、鉄過剰による酸化的DNA傷害を背景とした肝発癌にMUTYHが関与していることが明らかとなった。抗酸化薬投与群についてはまだ投与より12ヶ月が経過しておらず、次年度に検討を継続する。
3: やや遅れている
予定であったMUTYHホモ欠損マウスとヘテロ欠損マウスならびにC57BL/6J雄マウスに対して鉄過剰食(鉄450mg/kg diet)群ならびに通常食群(コントロール)において12ヶ月間にわたり腫瘍発生を観察ができ、鉄過剰による酸化的DNA傷害を背景とした肝発癌へのMUTYHの関与が検討できたが、鉄過剰食+抗酸化薬投与(N-acetyl cysteine)群に割り当てるMUTYHホモ欠損マウスの繁殖が遅れ次年度に持ち越しとなった。
MUTYHホモ欠損マウス、ヘテロ欠損マウスに鉄過剰食+抗酸化薬投与(N-acetyl cysteine)を行い、抗酸化薬による発癌予防の可能性を検討する。また本年度に発生を確認した肝癌ならびに背景肝組織を用いて遺伝子発現のmicro array解析を行い、酸化ストレスを背景した肝発癌機序について検討を加える。
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