研究課題/領域番号 |
24590985
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宮西 浩嗣 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60372819)
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研究分担者 |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
田中 信悟 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60561024) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肝発癌危険因子 / 肝癌予防 / 肝癌診断 / 酸化的DNA損傷修復遺伝子 |
研究実績の概要 |
最終年度は、MUTYHホモ欠損マウス、ヘテロ欠損マウスに鉄過剰食および抗酸化薬 (N-acetyl cystein)投与を12ヶ月間にわたり行い、抗酸化約による発癌予防の可能性を検討した。その結果抗酸化薬非投与群において、C57BL/6J雄マウスに比べて有意に増加していた肝癌発生率が低下し、有意差が消失することを確認できた。研究期間全体では、C型慢性肝炎患者におけるrs3219487のhetero/minor homo形質保有者においてMUYTYH発現が低下しており、同形質保有者において有意に肝発癌率がmajor homo形質保有者と比較して高いことを示し、更にこれが他の患者背景因子との多変量解析により独立した肝発癌危険因子であることを明らかにした。またrs3219487 minor配列保有によりMUTYH発現が低下する機序は同配列のpromoter領域への干渉であることも確認した。なお次世代シークエンサーION PGMを用いてMUTYHの他のSNPを解析し、日本人においてはrs3219493とrs3219489のminor allele保有が一定頻度認められるものの、肝発癌には関与しておらず、rs3219487との間に連鎖不平衡が存在しないことも確認した。MUTYHが酸化ストレスに伴う肝発癌に関与することの証左としてMUTYHホモ欠損マウスおよびヘテロ欠損マウスに鉄過剰食を与え、C57BL/6J雄マウスと比べて肝発癌率が有意に増加することも示した。C型慢性肝炎ウィルスの排除治療の進歩により、HCV現感染者数の低下が進むものと予測されるが、既往感染者における肝発癌が今後問題である。本研究の結果はrs3219487 minor allele保有が肝発癌の危険因子であることを示唆し、早期発見あるいは抗酸化療法の治療介入が肝発癌阻止に有用である可能性を示した。
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