研究課題
C型肝炎ウイルス(HCV)治療に使用されるインターフェロン・アルファ(IFNα)製剤による治療効果予測にIL28B(IFNラムダ(λ)のひとつ)の遺伝子多型(SNPs)が影響することから、HCV感染応答におけるIFNλの作用機序解明を目的とした。IL28B SNPs major type (MA;治療有効群)及びhetero type (HE;治療抵抗群)の2系統の初代ヒト肝細胞(PHH)を、獲得免疫が除去されたSCIDマウスへ移植したヒト肝細胞保持キメラマウスのHCV感染モデルを作成した後に、IFN治療(IFNαとIFNλの2種類)による抗HCV効果を検討した。PEG-IFNα投与により、抗HCV効果と肝内インターフェロン誘導遺伝子(ISGs)には肝細胞SNPによる差は認めなかったが、IFNλ発現誘導量がMAで有意に高値を示した。また、SNPsの直接的因子であるIFNλ製剤(PEG-IFNλ)を投与しても、抗HCV効果と肝内ISGsに肝細胞SNPsによる差は認めなかった。しかしながら、やはりIFNλ発現量がMAで有意に高値を示した。抗HCV効果(血中HCV RNA減少量)はIFNα投与時がIFNλ投与より高く、その要因としてSCIDマウスに残存するNK細胞の活性化による可能性が明らかとなった。次に、in vitroのPHH培養細胞系を用いてHCV感染を模倣したRIG-I刺激やTLR刺激を行った結果、IFNα/β同様にIFNλが容量依存性に産生され、さらにその産生量がIL28B SNPsにより異なることを見出した。さらに、各リガンド刺激のセンサー分子をsiRNAによるノックダウン実験を行った結果、PHHにおけるIFNλ産生のKey分子はRIG-Iである可能性が示唆された。以上の実験から、HCV持続感染が成立したヒト肝細胞に対するIFN投与、ならびにPAMP刺激によるIFNλ産生量がIL28B SNPsにより異なり、この誘導産生されたIFNλを介した獲得免疫応答がHCV排除に重要である可能性が示唆された。
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