研究課題/領域番号 |
24590990
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
光吉 博則 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30363972)
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研究分担者 |
安居 幸一郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30323695)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | NASH |
研究概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における鉄代謝の遺伝的多型の意義を検討した。鉄輸送タンパクとして重要な役割を持つフェロポルチンの遺伝的多型性を解析した。ヘプシジン結合部位と複数の細胞内外ドメインの一塩基多型を解析したが、鉄の過剰蓄積と関連する多型を見出すことは出来なかった。 NAFLDの病態進展にPNPLA3の特定の遺伝子多型が報告されている。この多型の意義を前向きに検討するために、肝生検を行った症例で遺伝子多型の解析し、病態変化を追跡中である。一方、脂質代謝に重要な不飽和脂肪酸受容体O3FAR1の一塩基遺伝子多型(R270H)の検討を行ったが、肝脂肪化や肥満との有意な相関は認められなかった。 特定の遺伝における一塩基子多型の検討は膨大な時間と労力が必要なため、遺伝子多型の解析は今後の検討課題としつつ、新規の遺伝子多型の解析は一時的に中断している。 次に、脂肪肝炎の発症にかかわる分子メカニズムの検討を行った。近年の研究から、マクロファージにおけるインフラマゾームの活性化が糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症に重要なことが報告されている。そこで、NAFLDの肝組織中のインフラマゾームの活性化を解析することにした。肝生検組織を用いてインフラマゾーム複合体タンパクの遺伝子発現レベル、肝組織中のcaspase1の活性化、血清中のIL-1βなどを測定し、これらの結果よりインフラマゾーム活性化のメカニズムを解析した。これまでの検討では、インフラマゾームの活性化は、主に肝組織中に浸潤している単核球を中心に起きていることが確認された。この細胞はマクロファージを推定されるが、確認のため標識マーカーを使って免疫染色にて解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PNPLA3遺伝子型測定のためのサンプル収集を外来に通院中の症例に協力を依頼しているが、新規に受診する症例の数が期待していた数よりも少ない。このために十分な解析数が得られていないため解析が遅れている。肝生検組織の解析についても同様であり、本学で新規に肝生検を受ける症例が期待した数よりも少ない。
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今後の研究の推進方策 |
新規のNAFLD/NASH症例の蓄積を期待しつつ、次年度以降に計画中の動物実験の準備に入る。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験を用いて食事中の脂肪や鉄が十二指腸のHIF-2αの活性や鉄代謝関連分子の発現に与える影響ついて解析する。野生型マウス(C57BL/6J)とob/obマウスを種々の条件で飼育し、肝臓、脾臓、十二指腸などにおける生体内の鉄蓄積レベルを評価する。さらに、肝臓と十二指腸からRNAを抽出して標的特異的なprimerを用いて発現を定量する。肝臓の組織学的所見をHE染色、線維染色、鉄染色で評価する。 以上の解析結果から得られたデータをもとに、高脂肪食や鉄過剰食が鉄吸収に与える影響とそのメカニズムについて考察する。
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