研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)におけるInflammasomeの役割について検討した。診断目的に肝生検を実施した症例の肝組織を用いて、①Inflammasome関連分子の発現(NLRP3、ASC、caspase-1、IL-1β、IL-18)、②血清中のIL-1βとIL-18の濃度、③肝組織中のInflammasome活性化細胞などを検討した。その結果、NAFLD症例ではほとんどのInflamasme関連分子発現が正常肝に比較して有意に亢進しており、かつ、肝炎の程度と有意な正の相関関係にあった。さらに、一部のInflammasome関連分子の発現はPNPLA3の特定の遺伝子型と密接に関連していた。NAFLD患者の血清IL-1βやIL-18は健常者に比べて高値を示し、肝炎の程度と正の相関関係にあった。Caspase-1の発現からInflammasome活性化細胞の同定を試みた結果、主にマクロファージやクッパー細胞で活性化が観察された。これらの結果より、NAFLDの病態進展にInflammasomeの活性化が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。次に、脂肪肝モデルマウスをも用いてInflammasomeの抑制が肝病態の進展に及ぼす影響について検討した。マウスを高脂肪食で16週間飼育してInflammasome活性化阻害剤(A438079)を投与した。A438079を投与したマウスの血清トランスアミナーゼは非投与のマウスに比べて低い傾向にあった。さらに、肝組織中の脂肪変性も改善傾向を示した。現在、これらのメカニズムを分子レベルで解析中である。
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