• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

肝癌の増殖と肝再生におけるApg-2の意義

研究課題

研究課題/領域番号 24590991
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

伊藤 義人  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244613)

キーワードAPG-2 / 脂肪肝炎 / 肝細胞癌 / 部分肝切除
研究概要

APG2-/-マウスの繁殖が動物舎スペースの増設により軌道に乗り、実験に必要な個体数が徐々に確保されてきている。まずはノックアウトマウスとコントロールマウスの各3匹のマウスを用いて部分肝切除、次に各6匹ずつで高脂肪食負荷、さらに各15匹ずつで発癌モデルの作成を行った。部分肝切除は6週令の個体を使用し、80%の肝切除を施行後48時間の検体を採取した。肝組織検体はcDNAマイクロアレイを行い、肝再生時におけるAPG2欠損の影響を解析している。次に8-10週令の20gを超えたマウスを各5匹ずつ用いて部分肝切除を行い、肝切除後の30および36時間後に検体を採取し、APG2-/-による肝再生への影響を検討している。
次に20gの体重を目安に高脂肪食、高脂肪高コレステロール食を12週間投与開始し、脂肪肝炎モデルを作成した。肝内のインスリンシグナル、脂質代謝、糖代謝経路に及ぼすAPG2の関与を解析している。さらに、マウス肝細胞株(AML12)を用いて、APG2をsiRNAを用いてノックアウトし、脂肪酸負荷による影響を検討することで、マウス個体に見られた変化の機序を解析中である。
最後に生後2週間のAPG2-/-マウスとコントロールマウスAPG2+/+マウスにジメチルニトロサミンを投与し8から10か月後における肝発癌の状況を検討中である。先の実験では、マウスの体重が20gになるまで待つことで、コントロールマウスとの体重差がない状況でモデルマウスを作製した。しかし、この発癌モデルは生後2週間の投与であり、APG2-/-マウスは生後数週間の発育が不良であることから、ジメチルニトロサミン投与の影響が響き、当初は投与後数週間の死亡が散見された。解析に必要な個体数の確保が困難であったが、ようやく数が揃い結果待ちの状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年の段階でAPG2-/-マウスのSPF化を含む搬入手続き、実験に必要な個体数の確保に時間がかかったためにその分遅れが生じている。さらに、モデル作成にかかる時間として、部分肝切除は数日、高脂肪食負荷モデルは12-24週間であるが、肝細胞癌発癌モデルは10か月と長時間を要する。また、発癌モデルは生後2週間のマウスにジメチルニトロサミンを腹腔内投与するが、投与後に死亡するケースが散見された。APG2-/-マウスは生後数週間の体重増加率が低いという表現型があり、これが影響していると考えられた。とりあえずは、部分肝切除モデル、高脂肪食負荷モデルでのサンプリングが終了しており、現在解析中である。発癌モデルに関しては今年度中にサンプリングが終了する予定であるため、APG2-/-で肝細胞癌発癌に差がある場合は、その機序を解明するための検討を予定している。

今後の研究の推進方策

発癌モデルを作成に時間がかかるため、作成済みである部分肝切除モデル、高脂肪食負荷モデルの解析を進めている。部分肝切除モデルではマウス肝細胞株のAML12を用いてAPG2に関わる分子の動きをsiRNAを用いた実験で検討することで、in vivoで得られた現象の機序を探索している。
次に高脂肪食高コレステロール食負荷モデルでは、APG2-/-マウスで得られた知見が、肝細胞によるものか、脂肪細胞によるものか判断に迷うために、部分肝切除モデル同様マウスの肝細胞株AML12、さらに脂肪前駆細胞3T3L1を用いてAPG2の脂肪肝形成に及ぼす作用機序を個々の細胞に限定して解析することでターゲットを絞る。およその見当がついた時点で、APG2-/-マウスの肝細胞を初代培養し、細胞株で見られた現象が実際の肝細胞で確認されるかどうかの検討を予定している。
部分肝切除と高脂肪食高コレステロール食負荷モデルの実験は、データ集計後に論文作成、学会発表を行う予定である。
最後に肝発癌モデルに関しては2014年8月にジメチルニトロサミン10か月投与後の結果が判明するため、APG2-/-マウスで優位に肝発癌に差があった場合は、その機序をヒト肝がんの細胞株で検討するとともに、ヒト臨床検体を用いた検討を追加しAPG2発現と実際の臨床データとの比較検討を行う予定である。

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi