研究課題
最初に、酸化的DNA損傷と癌抑制遺伝子(TSG)の異常メチル化、及び肝発癌との関連について検討した。C型慢性肝炎(CHC)組織において、異常メチル化を持つTSG数が肝癌発生のリスクであることを明らかにした。さらに酸化的DNA損傷(8-OHdG)レベルが異常メチル化をもつTSG数と関連し、8-OHdGの産生部位でヒストン修飾が抑制型に変化する可能性が示された。一方、非ウイルス性 (NBNC) 肝癌例でも、酸化ストレスを介したエピゲノム変異が発癌に関わる可能性があるため、NBNC肝癌例での包括的エピゲノム解析と臨床的背景との関連を解析した。非癌部肝組織でのメチル化レベルに注目し、肝発癌のリスクと考えられる臨床背景と、非癌部でのメチル化レベルの関連を検討した。非癌部で、年齢によりメチル化レベルに差があるCpG、糖尿病歴で差あるCpGが抽出された。この内、肝癌細胞株の脱メチル化処理により、発現が回復する遺伝子が複数同定された。最終年度では、脂肪性肝疾患(NAFLD)からの発癌予測因子を同定するため、肝組織の8-OHdGレベルをサロゲートマーカーとし、臨床病理学的因子との対比を行った。変量解析では性別、身長、Fibrosis-4 (Fib-4) index、AST/ALT比、血清AFP値が肝細胞の8-OHdG量と相関していた。Fib-4 indexはAST/ALT比との交絡因子であるため、これを省いて多変量解析し、血清AFP値が独立して肝細胞の8-OHdG量と関連した。一方、病理学的因子ではballooningが8-OHdG強度と相関し(p=0.0021)、線維化ステージも8-OHdG強度と相関したが、ballooningが独立して、量依存的に8-OHdG強度と関連していた。さらに8-OHdG染色強度はその組織のメチル化TSG数と優位に相関していた(p=0.0362)。NAFLDにおいて、血清AFP値および組織のballooningが酸化的DNA損傷と相関し、TSGのエピゲノム変化を介した発癌予測因子になりうる可能性が示唆された。
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