研究課題
H24~25年度では、ラミブジン治療抵抗例に対するアデホビルとの併用を行った406症例において、耐性ウイルスの検討を行った。併用療法開始時に多剤耐性ウイルス(ラミブジン+アデホビル耐性、エンテカビル耐性)を認めた症例は11例(2.7%)、併用療法開始後12例(3%)でラミブジンとアデホビル両剤に対する耐性ウイルスの出現を認めた。耐性ウイルスは、RtA181S/Tの変異を11例、rtT184I またはrtM250Iの変異を4例、rtA181T+N236T の変異を2例に認めた。この12例中10例において併用療法開始時の血清を用いて、次世代シークエンサー(Ion OneTouch Enrichment System)により耐性ウイルスの検討を行った。併用療法後rtA181T/V/Sの変異が出現した10例中7例で治療開始前にすでにrtA181T/Vの変異が検出された。この検出量は7例中6例で1%以下であった。一方rtT184I, rtM236T, rtM250I/Lの変異は、治療開始時でも検出されなかった。H26年度は、エンテカビル初回治療例976例での耐性ウイルスのを検討を行った。5例でエンテカビル耐性を認め、さらに4例ではrtM204Iなどの耐性ウイルスを認めた。このような核酸アナログ製剤の耐性ウイルス出現例や不応例44例に対するテノホビルの成績を検討した。HBV DNAの陰性化率は、1年67%、2年87%であった。しかしrtA181T, rtS202Gの変異をもつ症例でviral breakthroughを認めた。以上のようにラミブジン、アデホビル併用療法では6%、エンテカビルでは1%に多剤耐性ウイルスを認めた。このような症例に対するテノホビルの効果は高いが、2例でviral breakthroughを認めrtA181T, rtS202Gの変異例を中心に注意が必要である。
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