• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

2種類の次世代高速シーケンサーを用いたB型肝炎慢性化阻止法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591002
研究種目

基盤研究(C)

研究機関愛知医科大学

研究代表者

伊藤 清顕  愛知医科大学, 医学部, 講師 (50551420)

研究分担者 杉山 真也  独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (20612427)
溝上 雅史  独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40166038)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードB型肝炎 / genotype A / 慢性化 / quasispecies / 次世代シーケンサー / SNPs
研究概要

我々は、これまでの多施設共同研究により本邦のB 型急性肝炎において欧米型であるgenotype A の占める割合が急速に増加していること、GenotypeA による成人のB 型急性肝炎は、他のgenotype では慢性化率1%以下と低率なのに対して約7-8%が慢性化することを明らかにしてきた。慢性化しやすいgenotype A の増加は、成人感染後の肝硬変、肝癌の難治性疾患の増加を引き起こすため対策が重要である。本研究では、ウイルス側と宿主側の双方からのアプローチにより、genotype A による急性肝炎の慢性化成立機序を明らかにし、今後の慢性化予防、新規治療薬開発の基礎とすることを目的とした。
慢性化成立機序に関連するウイルス側因子を解析するため、B 型急性肝炎発症からの1-2か月毎のシリーズ血清を用いて、long read typeの次世代高速シーケンサーにより解析を行った。その結果、B型急性肝炎1症例においてHBs抗原陽性の時期に認められなかったpreS1領域に存在するstop codonを、HBs抗原消失後にmajor cloneとして認めた。このため、急性肝炎感染初期に宿主の免疫応答を受けることにより、quasispeciesの結果変異株が残存するだけではなく、新たにウイルスが変異を獲得するということが明らかとなった。
宿主側のファクターとしては、既報のB 型慢性肝炎に関連するHLA-DP locus (KamataniY. et al., Nat Genet, 2009) および HLA-DQ locus(Mbarek H, et al. Hum Mol Genet 2011) に存在するSNPs を用いることにより、成人におけるgenotype
A による急性肝炎の慢性化との関連を調査したが、現在のところ慢性化とこれら2つのSNPsとの関連は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに全国の共同研究施設より、成人のB 型急性肝炎症例1088 例(1988 年~2011 年)の収集を終了した。また、B型慢性肝炎においても4,000例程度の症例の収集を終了した。これまでに特にB型急性肝炎のシリーズ血清を用いてウイルス側の因子をlong read typeの次世代シーケンサーを用いて解析を行い特徴的な所見を得た。
また、宿主側要因に関してはgenotype AによるB型急性肝炎症例の血液より抽出したDNA81検体に関してHLA-DPの解析を終了した。Genotype AによるB型慢性肝炎症例に関しては、未解析であるが80症例の血液よりDNAの抽出を終了し収集が進行している。今後さらにgenome収集を進めていき、順次解析を行っていく予定である。以上のように症例は順調に集積しており、すでに一部の症例では解析を終了しており、これまでおおむね予定通り研究は進展している。

今後の研究の推進方策

成人感染によるB型急性肝炎の慢性化症例においても肝硬変、肝癌といった難治性肝疾患に進行する症例が認められる。このため、今後もGenotype AによるB型急性肝炎の慢性化に関連する因子をウイルス側と宿主側の双方からアプローチを続け、慢性化成立機序の解明を進め、慢性化予防、新規治療薬開発の基礎とすることを目的とする。ウイルス側の要因に関しては、さらに数症例のシリーズ血清を対象としてlong read typeの次世代シーケンサーによる解析を進めquasispeciesに対応したウイルス側因子の解明を目標とする。
また、宿主側の因子に関しては、B型慢性肝炎症例に関してもHLA-DP領域のSNPsとの関連に関する解析を進め、症例数によりSNP arrayによるgenome-wide association study、short read typeの次世代シーケンサーによる解析を目標とする。

次年度の研究費の使用計画

今後も症例収集を進めるためのDNA抽出や保存に関する消耗品代に用いる。また、B型急性肝炎のシリーズ血清を用いた次世代シーケンサーによる解析を進めるための消耗品代、試薬代に用いる。B型慢性肝炎のgenome解析に用いるHLA-DP解析に用いるための試薬代、genome-wide association studyに用いるためのSNP array plate等の購入費用としても使用する。また、これらの研究を施行するうえでの研究補助員の人件費代としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] No association for Chinese HBV-related hepatocellular carcinoma susceptibility SNP in other East Asian populations.2012

    • 著者名/発表者名
      Sawai H, Ito K et al.
    • 雑誌名

      BMC Med Genet.

      巻: 19 ページ: 47

    • DOI

      10.1186/1471-2350-13-47

    • 査読あり
  • [学会発表] HBVジェノタイプの最近の動向と病態との関連2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤清顕、溝上雅史
    • 学会等名
      第99回日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] B型慢性肝炎に関する全国調査結果

    • 著者名/発表者名
      伊藤清顕、溝上雅史
    • 学会等名
      第20回日本消化器関連学会週間JDDW2012シンポジウム
    • 発表場所
      神戸
  • [図書] 化学療法の領域増刊号 HBV遺伝子型とB型急性肝炎2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤清顕、溝上雅史
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      医薬ジャーナル社
  • [図書] 医学のあゆみ B型肝炎ー最新治療コンセンサス Genotype AによるB型急性肝炎の拡大とその特徴2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤清顕、溝上雅史
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi