研究課題
基盤研究(C)
膵組織の恒常性維持、再生機構についてはいまだ不明な点が多いが、近年、幹細胞・前駆細胞研究の進歩から膵腺房中心細胞などがあらためて注目を集めている。慢性膵炎などで認められる膵線維化を膵幹細胞・前駆細胞のnicheの変化として捉え直し、実質脱落による膵機能低下を新たな視点から解析することを目的として研究を行った。平成24年度は、膵線維化に中心的役割を担うラット膵星細胞との共培養系におけるRIN-5F細胞の機能変化について検討した。1μm径の孔のあいたculture insertを用いてラットβ細胞由来RIN-5F細胞を活性化ラット膵星細胞と非接触下に共培養したところ、RIN-5F細胞のインスリン発現が低下し、アポトーシスが誘導された。β細胞のアポトーシスに役割を担うことが報告されているnitric oxide synthaseのRIN-5F細胞における発現上昇は認められなかったが、cleaved caspase3の増加が確認され、RIN-5F細胞のアポトーシスにおけるカスパーゼ経路の関与が示唆された。更にRIN-5F細胞のミトコンドリア膜電位をMitoPT JC-1アッセイキットを用いて評価し、RIN-5F細胞のアポトーシスにおけるミトコンドリア経路の関与も示唆された。以上の結果を論文にまとめた(Biochem Biophys Res Commun. 2013 Mar 13 Epub ahead of print)。1μm径の孔のあいたculture insertを用いたラット膵星細胞との共培養系におけるAR42J細胞の変化についても解析を進めているところである。
3: やや遅れている
ラット膵星細胞との共培養系におけるRIN-5F細胞の機能変化についての検討を先行させたため、膵腺房中心細胞の分離、膵腺房中心細胞と膵星細胞の共培養系における検討に遅れが生じている。
先行させたラット膵星細胞との共培養系におけるRIN-5F細胞の機能変化についての検討には一定の目処がついたため、膵腺房中心細胞の分離、膵腺房中心細胞と膵星細胞の共培養系における検討、ならびにAR42J細胞と膵星細胞の共培養系における検討を中心に進めていく予定である。
平成24年度に使用しなかった研究費は平成25年度の研究費と合わせて、研究計画に沿って、膵腺房中心細胞の分離、膵腺房中心細胞と膵星細胞の共培養系における検討、ならびにAR42J細胞と膵星細胞の共培養系における検討等にあて、研究を進めていく予定である。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (4件)
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