研究課題
膵組織の恒常性維持、再生機構については不明な点が多いが、近年、膵腺房中心細胞などの役割があらためて注目されている。種々の膵疾患で認められる膵線維化を膵幹細胞のnicheの変化として捉え直し、線維化のコントロールによる膵再生、膵機能改善の可能性を探るべく研究を行った。膵腺房中心細胞の分離については、現在、様々な実験条件を検討中である。1μm径の孔のあいたculture insertを用いた共培養実験系では、ラット膵星細胞とAR42J細胞の相互作用について解析を進めているところである。併せて本年度は、急性膵炎における栄養状態評価、糖尿病が急性膵炎に与える影響、急性膵炎関連死のリスク因子、慢性膵炎における糖尿病と膵外分泌不全に関する検討を行った。急性膵炎患者の栄養状態を後ろ向きに収集し、入院時の栄養状態が急性膵炎の予後と相関していることを明らかにし、米国Digestive Disease Week 2013でポスター発表を行った。糖尿病合併急性膵炎患者の予後が悪いことを疫学的検討から見出し、日本Digestive Disease Week 2013ワークショップにて口演発表し、日本消化吸収学会誌に投稿した。また、本邦における急性膵炎の予後因子を改めて評価しなおし、第44回日本膵臓学会大会シンポジウムにて口演発表し、日本膵臓学会誌に投稿した。慢性膵炎における糖尿病と膵外分泌不全と臨床像の相関を全国調査に基づき解析し、第44回日本膵臓学会大会パネルディスカッションで口演発表した。
3: やや遅れている
解析に十分な量の膵腺房中心細胞の安定的な分離には時間を要する見通しであり、膵腺房中心細胞と膵星細胞の共培養系における検討に遅れが生じている。
膵腺房中心細胞の安定的な分離には時間を要する見込みであり、今後はAR42J細胞と膵星細胞の共培養系における検討を中心に進めていく予定である。
本年度は急性膵炎、慢性膵炎に関する検討とその報告を中心に遂行したため、物品購入のための経費が当初の予定と異なり少額に抑えられたため。次年度は、膵腺房中心細胞の分離、膵腺房中心細胞と膵星細胞の共培養系における検討、ならびにAR42J細胞と膵星細胞の共培養系における検討を中心に進めていくため、必要な物品購入のために助成金を適切に使用していく予定である。
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