研究課題/領域番号 |
24591004
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
真嶋 浩聡 秋田大学, 医学部, 講師 (10261869)
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研究分担者 |
大西 洋英 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00313023)
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キーワード | 急性膵炎 / S100 / アネキシン |
研究概要 |
昨年度までの検討で急性膵炎発症に関わる蛋白を絞り込み、S100ファミリー、アネキシンファミリーに属する2種類のカルシウム結合蛋白質が急性膵炎の発症と重要な関連を持っていることを明らかにした。これらの因子と急性膵炎との関連を詳細に検討するために、国際ノックアウトマウスコンソーシアムよりES細胞を購入し、ノックアウトマウスの作成を試みた。しかし、キメラマウスは作成できたものの、そこからヘテロマウスを作成することができなかった。つまり、変異が生殖細胞にまで反映されておらず、これは他のプロジェクトの進行とも照らしあわせるとES細胞の不良が考えられた。文献を検索するとS100ファミリー蛋白のノックアウトマウスはウィスコンシン大学、忠北大学校(韓国)が保有していた。ウィスコンシン大学のマウス杯はトラブルにより利用不可能となっていたが、韓国のグループとは共同研究が可能で、2014.6月にノックアウトマウスが届く予定となっている。届き次第に解析に移行する。 野生型マウスに実験的膵炎を惹起し、急性膵炎反応の前後でS100ファミリー、アネキシンファミリーの蛋白の変化を免疫組織化学を用いて検討した。予想通り、急性膵炎の発症に伴い、これらの蛋白は早期に発現レベルが上昇し、膵炎発症との密接な関連が示唆された。細胞レベルでどのような機能をはたしているかを明らかにするために、ラット膵腺房細胞由来のAR42J細胞にレトロウイルスを用いて遺伝子変異を起こさせ、①コントロール細胞、②S100ファミリー蛋白過剰発現細胞、③アネキシンファミリー蛋白過剰発現細胞を樹立した。今後これらの細胞の性質の変化、カルシウムシグナルに及ぼす影響、膵炎反応時の挙動等を検討してゆく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の項でも述べたが、ノックアウトマウスの作成が思うように進んでいない。国際ノックアウトマウスコンソーシアムから購入したES細胞ではキメラマウスは作成できるものの、ヘテロマウスが生まれなかった。韓国のグループがS100ファミリーノックアウトマウスを有していることがわかり、共同研究することでマウスが入手可能となった。 アネキシンファミリーノックアウトマウスは検索しても存在せず、本研究期間中では使用できない可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
①S100ファミリー蛋白ノックアウトマウス、IRF2ノックアウトマウス、S100ファミリー蛋白+IRF2ダブルノックアウトマウスを作成し解析する。生理条件下、実験的膵炎誘導下で膵腺房細胞にどのような変化が生じるかを詳細に検討する。 ②遺伝子操作を施した膵腺房培養細胞株AR42Jを用いて、増殖・分化、外分泌、カルシウムシグナル、膵炎誘導時の挙動の変化等を詳細に検討する。 以上のin vivo、in vitro実験を通じて、膵炎発症時に膵腺房細胞内でどのような変化が生じるかを明らかにし、膵炎を発症させるinitial triggerは何であるかを解明してゆく。
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