研究課題
研究者らは本研究の予備検討として膵癌の進展に抑制的に作用するヒストン修飾因子の探索を行い、ヒストン脱メチル化酵素JMJD3/KDM6Bを候補として同定している。これをふまえ、本研究ではJMJD3が膵癌の悪性度を抑制する機序について検討を行ったところ、新規に同定したJMJD3-CEBPA経路が膵癌において腫瘍抑制的な作用を持つことを明らかにすることができた。具体的な知見は以下のとおり:(1)ヒストン脱メチル化酵素JMJD3は、膵癌の前癌病変であるPanINにおいて高発現しているが、膵癌においては病理学的悪性度と比例してその発現が減弱する(平成26年度)(2)JMJD3の発現抑制により膵癌細胞株の悪性度は増強する(平成24年度)(3)JMJD3の発現抑制に伴う膵癌細胞の悪性度増加は、癌抑制遺伝子CEBPAの発現低下を介して生じる(平成24、26年度)(4)JMJD3はH3K27me3脱メチル化作用を介して癌抑制遺伝子CEBPAの転写を促進する(平成24年度)(5)臨床検体において、JMJD3とCEBPAの発現は正の相関を示し、一方でこれらの遺伝子は病理学的悪性度と負の相関を示す(平成26年度) 以上をCarcinogenesis. 2014 Nov;35(11):2404-14にて報告した。
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Carcinogenesis
巻: 35 ページ: 2404-14
10.1093/carcin/bgu136