研究課題
・今までの成果と2014年度の課題:1)マウス実験により血中アディポネクチンの欠損が膵癌細胞の増殖を促進することを明らかにし、その機序としてアディポネクチンによる膵癌細胞のアポトーシス誘導および膵星細胞数の抑制が示唆された。細胞培養実験にてアディポネクチンが膵癌細胞の増殖を抑制しアポトーシスを誘導することを確認した。一方、膵星細胞の初代培養を試みるも系を確立することが出来なかった。2014年度の課題は膵星細胞の初代培養に成功して、アディポネクチンの膵星細胞への作用を検証することである。2)膵癌患者を対象とした疫学研究により、化学療法の治療効果と内臓脂肪の蓄積量が相関するか検討した。手術不能で化学療法を受けた患者を対象として解析を行なうも、相関を認めなかった。膵癌進行に伴うカヘキシーの影響を除くため、術後化学療法を受けた患者を対象とした解析を行う予定であったが、外科との連携が取れず実施出来なかった。・2014年度の成果:コラーゲン分解酵素の最適化により膵星細胞の初代培養が安定して行えるようになった。1)アディポネクチンは膵星細胞の増殖を抑制せず、アポトーシス誘導も認めなかった。膵癌細胞を接種されたアディポネクチン欠損マウスにおける膵星細胞が対照マウスよりも増加する機序に、アディポネクチンの膵星細胞に対する直接的な作用は関与しないことが示された。2)膵星細胞の培養液は膵癌細胞の増殖を亢進した。膵星細胞における増殖因子の発現を調べると、アディポネクチンはCXCL12, bFGF, IGF-1, PDGFAの発現を抑制した。膵癌細胞を接種されたアディポネクチン欠損マウスで形成される腫瘤が対照マウスよりも大きい機序の1つとして、膵星細胞から発現される増殖因子の抑制が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件)
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