研究課題
膵癌の薬物治療の効果予測に有効なバイオマーカーを発見するため、超音波内視鏡ガイド下針生検 (FNA)により採取した膵癌組織の余剰サンプルから、癌細胞を単離培養して、治療効果予測となりうるバイオマーカーを探索することを目的としている。現在までのところ、①大腸癌の臨床検体では高い成功率で癌細胞の単離培養が可能となる手法(CTOS法)の膵癌細胞培養への応用、②大腸癌のEGF受容体に対する分子標的治療薬のセツキシマブの治療効果予測の重要なバイオマーカーとして報告されているKRAS変異と膵癌に臨床応用されている抗EGF受容体阻害薬エルロチニブの膵癌培養細胞に対する抗腫瘍効果の関係の検討を行った。①大腸癌細胞では、申請者が開発した手法で大腸癌組織を機械的に細断、酵素処理を行った細胞塊は細胞間接着を維持しており、浮遊培養下アノイキスを回避し高い生存性を保った球状の安定した細胞塊CTOS(cancer tissue-originated spheroids)を形成したが、膵癌由来培養細胞では、浮遊条件下、球状の細胞塊を形成しなかった。膵癌培養細胞ではE-cadherinの発現が認められず、細胞間接着が不良であるため浮遊培養条件下でアノイキスが生じたことが原因となっていることが考えられた。②大腸癌組織由来CTOSに対して、5-FUは用量依存性に抗腫瘍効果を発揮したが、セツキシマブはRAS野生型細胞に対しても抗腫瘍効果を発揮しなかった。膵癌培養細胞では、RASの野生型/変異型に関わらず、エルロチニブは細胞増殖抑制効果を示した。また、ゲムシタビンと併用した場合、KRAS野生型ではエルロチニブとゲムシタビンの併用効果は認められなかったが、KRAS変異型ではゲムシタビン単独に比べエルロチニブを併用した場合有意に抗腫瘍効果が増強した。
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