研究課題
我々はO結合型糖鎖の1つ目の単糖を基質タンパク質に付加する糖転移酵素であるN-アセチルガラクトサミン転移酵素(GalNAc-T)に着目し、GalNAc-Tファミリーの1つであるGalNAc-T3が膵癌細胞の増殖に関わっていることを明らかにした。また、GalNAc-T3は細胞増殖に関わる基質タンパク質GNAT1に膵癌特異的なO結合型糖鎖を付加して細胞増殖に関与していることも明らかにした。本研究では、GNAT1上の膵癌特異的なO結合型糖鎖の構造解析を行い、その構造が細胞の増殖亢進ひいては癌化にどのように関与するかについての知見を得ることを目的とする。本研究では「GalNAc-T3の基質タンパク質GNAT1に付加された膵癌特異的なO結合型糖鎖の構造解析」及び「GalNAc-T3により形成された糖鎖構造がGNAT1の機能にどのように影響し、細胞増殖を中心とした癌化・癌形質に関わるか」を解析する。1 膵癌細胞から内在性GNAT1を精製し、質量分析計によりO結合型糖鎖の付加されているアミノ酸部位及びO結合型糖鎖の構造を明らかにする。2 申請者が作成したGalNAc-T3がノックダウンされた膵癌細胞株を用いて、質量分析計により同定した糖鎖がGalNAc-T3のノックダウンにより消失するかを観察する。3 GNAT1上のO結合型糖鎖を介して結合するタンパク質を同定する。それらが、実際に細胞増殖等の癌形質に関与するかを明らかにする。以上の実験を行うことにより、GNAT1のO結合型糖鎖の構造とGalNAc-T3により形成されたGNAT1上の糖鎖が細胞増殖に関わる機序を明確にすることができる。平成26年度までに上記(1)~(3)の実験計画をほぼ予定通りに完了した。
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