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2012 年度 実施状況報告書

膵癌における癌間質相互作用に関わるmicrovesiclesの機能解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 24591014
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

清水 祐紀子  九州大学, 大学病院, 助教 (10404021)

研究分担者 水元 一博  九州大学, 大学病院, 准教授 (90253418)
冨永 洋平  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (90304823)
江上 拓哉  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40507787)
宮坂 義浩  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40507795)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードマイクロベシクル / ギャップジャンクション / 膵星細胞 / 膵癌 / 癌間質相互作用
研究概要

本研究目的は、膵癌における膵癌細胞と膵星細胞間の間における癌間質相互作用がマイクロベシクルおよびギャップジャンクションによってどのように制御されているかを明らかとし、それを標的とした治療法を開発することであり本年度は以下のことを明らかとした。まず初めに、マイクロベシクルおよびギャップジャンクションによる癌間質相互作用をヒト膵星細胞の観点から研究するため、膵癌手術標本よりヒト膵星細胞を樹立した。樹立した膵星細胞と膵癌細胞株との間接共培養や膵星細胞の上清を用いた実験により、癌間質相互作用を浸潤能、遊走能の観点から検討し、膵癌細胞株へ特に影響を及ぼす膵星細胞の同定を試みた。また、我々は過去に膵星細胞がヘテロな細胞な集団であり、その中でCD10陽性膵星細胞が癌間質相互作用を通して膵癌細胞の悪性度を増強する作用が強いことを報告しているが、この知見をもとに現在CD271, CD90, CD146, ポドプラニンなどの細胞表面マーカーにも着目し、膵星細胞の集団中でも特に癌細胞の悪性度に影響を及ぼす集団を同定する研究を進めている。現在、免疫組織化学染色などの結果より各表面マーカーごとの異なる癌間質相互作用の分類をすすめており、その膵星細胞における差異をマイクロベシクルおよびギャップジャンクションの観点から検討する準備段階にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マイクロベシクルおよびギャップジャンクションの発現解析に適したヒト膵星細胞および膵癌細胞株の選択にあたって、その解析に最も適した細胞選択のための解析に難渋した。ヒト膵星細胞は均一な細胞集団ではなく、ヘテロな機能を持った細胞の集団である。我々は、この膵星細胞におけるヘテロな機能発現が、マイクロベシクルおよびギャップジャンクションの発現の差異による可能性を推察している。この可能性を検討するために、数種の細胞表面マーカーに着目し、膵星細胞の集団中でも特に悪性度の高い集団を同定する研究を進めた。現在、数種類の表面マーカーにより分取することで、異なる癌間質相互作用と及ぼす膵星細胞を分類することに成功しており、その膵星細胞における差異をマイクロベシクルおよびギャップジャンクションの観点から検討する準備段階にある。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、膵星細胞および膵癌細胞株を、その癌間質相互作用に影響を及ぼす細胞表面マーカーにおいて分類し、その差異をマイクロベシクルおよびギャップジャンクションの観点から検討する。また、マイクロベシクルおよびギャップジャンクションの膵癌の治療抵抗性や転移・浸潤・EMTへの関与について検討する。EMT に基づく転移や浸潤は固形癌に特異で、特に膵臓癌では予後を決定する。具体的には上記の癌間質相互作用において実際に伝達される因子を同定し、抗癌剤さらに固形癌特有である浸潤・転移能やEMT へ与える影響を検討し、またこれらの能力に関連する分子発現を検討する。単培養あるいは間接共培養状態と比較して変化する細胞活性や遺伝子・蛋白発現について解析する。また、NOG マウス共移植モデルにおいて転移や播種に関わる分子や膵星細胞の遺伝子・蛋白発現の細胞間移動による変化を解析する。

次年度の研究費の使用計画

研究の遂行に必要な主要装置(リアルタイムPCR, 蛍光顕微鏡、遺伝子導入装置、バイオアナライザー、ナノドロップ、FACS機器など)は既に研究室内に設置されている。この他の機器(セルソーター、透過型電子顕微鏡、DNAシークエンサー、共焦点レーザー顕微鏡など)については学内の研究支援センターなどにおいて利用可能であり、研究の遂行に支障はない。 このため研究経費において新たな設備備品の購入は不要である。そのため、消耗品として、shRNA/レトロウイルス作成キット(40万円)、siRNA実験器具(10万/2年目)などの購入を経費として計上している。また、研究成果の中間発表の場として国内学会(1-2回/年を予定)の旅費を10-20万円予定している。現在、研究グループとしてのマンパワーは充分であるので、常勤にて追加雇用の予定はない。謝金は、主に非常勤実験補助員や時間外の実験協力に対して予定している(10万)。

研究成果

(8件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 学会発表

  • [雑誌論文] CD271⁺ subpopulation of pancreatic stellate cells correlates with prognosis of pancreatic cancer and is regulated by interaction with cancer cells2012

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara K et al
    • 雑誌名

      PLos One

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0052682.

    • 査読あり
  • [学会発表] 膵癌におけるCD271陽性膵星細胞の意義

    • 著者名/発表者名
      藤原 謙次 他
    • 学会等名
      第112回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      千葉
  • [学会発表] CD105陽性膵癌細胞は膵星細胞から影響を受けて強い遊走能を獲得する

    • 著者名/発表者名
      藤原 謙次 他
    • 学会等名
      第43回日本膵臓学会大会
    • 発表場所
      山形
  • [学会発表] CD271+ pancreatic stellate cells are correlated with prognosis of patients with pancreatic cancer and regulated by interaction with cancer cells

    • 著者名/発表者名
      Kenji Fujiwara et al.
    • 学会等名
      International Symposium on Pancreas Cancer 2012 in Kyoto
    • 発表場所
      京都
  • [学会発表] Migratory activity of CD105+ pancreatic cancer cells is strongly enhanced by pancreatic stellate cells

    • 著者名/発表者名
      Kenji Fujiwara et al.
    • 学会等名
      2012 Joint Meeting of APA and IAP
    • 発表場所
      Miami, USA
  • [学会発表] A CD166 negative subpopulation of pancreatic cancer cells has strong invasive and migratory activity.

    • 著者名/発表者名
      Kenji Fujiwara et al.
    • 学会等名
      4th Biennial Congress of the Asian-Pacific Hepato-Pancreato-Billiary Association
    • 発表場所
      上海、中国
  • [学会発表] Fibroblasts expressing Podoplanin enhance the tumor progression

    • 著者名/発表者名
      Koji Shindo et al.
    • 学会等名
      2012 Joint Meeting of APA and IAP
    • 発表場所
      Miami, USA
  • [学会発表] Fibroblasts expressing Podoplanin enhance the tumor progression of invasive ductal carcinoma of pancreas

    • 著者名/発表者名
      進藤 幸治 他
    • 学会等名
      第71回日本癌学会
    • 発表場所
      札幌

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公開日: 2014-07-24  

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