研究課題/領域番号 |
24591017
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
樋口 肇 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20306682)
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研究分担者 |
佐藤 俊朗 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (70365245)
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キーワード | 3次元培養 / 膵癌 / 癌幹細胞 / 上皮間葉転換 |
研究概要 |
本研究の目的は、ヒト膵癌における癌幹細胞の同定、機能解析を効率的に行うための、in vitro初代培養系を確立することである。Matrigelを用いた三次元培養法を導入し、ヒト膵癌組織由来の細胞組織の初代培養を行い、長期間にわたり安定した培養維持を可能とするための条件を検討中である。昨年度までの研究成果により、臨床検体由来の膵癌組織を用いての膵癌細胞あるいは膵癌幹細胞の分離、並びに分離した細胞の3次元マトリゲル内における短期間の培養が可能となっていた。培養効率を高めるために、肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor, HGF)、血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor, PDGF)、Jagged-1等の間質組織(細胞)由来の因子による膵癌幹細胞の維持に関する検討を行いその重要性を報告したが、本年度は培養系にさらなる改良を加え、一部の臨床検体由来の膵癌細胞を長期間維持・培養することが可能となった。今後、培養系にさらなる改良を加えるとともに、膵癌幹細胞を含む癌細胞に対する生物学的性質の解析、薬物感受性試験による治療薬剤の探索実験への応用を模索する予定である。癌幹細胞のマーカーとしてはCD44分子に着目しており、本分子の発現状況と上皮間葉転換(Epithelial-to-mesenchymal transition, EMT)の関連を探索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請時の研究計画では、初年度に3次元初代培養系の条件を確立する予定であったが、本年度の研究成果によって一部の検体に対しては長期間にわたる経代・維持が可能となった。今後さらなる培養系の改良が必要である。 膵癌幹細胞の同定には有望な分子マーカーを特定し得たが、その特異性ならびに有効性に関して更なる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌細胞に対する培養系に関しては、今後さらなる改良を行う予定である。特に、複数の臨床検体による培養系を確立するために、検討を重ねる。 膵癌幹細胞の同定には有望な分子マーカーを特定し得たが、その特異性ならびに有効性に関して更なる検討が必要である。また、薬剤感受性、細胞死抵抗性、上皮間葉転換などの細胞生物学的性質に関する検討を行う予定である。
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