研究課題
本年度は1型自己免疫性膵炎(AIP)における制御性B細胞(Breg)役割について検討した。1型AIP、慢性膵炎、膵癌患者末梢血において、CD19+CD24highCD38highBregとCD19+CD24highCD27+Bregをフローサイトメトリーで解析した。その結果1型AIP患者のCD19+CD24highCD38highBregは、慢性膵炎患者、膵癌患者、健常人と比較し、いずれも有意に増加していた。CD19+CD24highCD27+Bregは、各疾患群間で有意差は認めなかったが1型AIP患者では減少していた。一方、IL-10産生B細胞は1型AIP患者と健常人に有意差はなく、1型AIP患者で増加しているCD19+CD24highCD38highBregの比率と血清IgG4値にも相関は認めなかった。このことよりCD19+CD24highCD38highBregは疾患の活動を抑制するために反応性に増加し、CD19+CD24highCD27+Bregが病因に関与している可能性があると推測している。さらに膵癌と1型自己免疫性膵炎におけるIgG4陽性細胞の局在について検討した。IgG4陽性細胞数は1型AIPが癌部、膵癌隣接部位、膵癌上流の閉塞性膵炎に比べ有意に高値であった。IgG4/IgG陽性細胞の比率は1型AIPが高値であった。IgG4陽性細胞が10/HPFを超えるものは、癌部で21例中1例膵癌上流の閉塞性膵炎で21例中2例認められた。IgG4/IgG陽性細胞比40%以上の症例が癌部で21例中9例、膵癌隣接部位で21例中6例、膵癌上流の閉塞性膵炎で21例中3例認めた。包括診断基準のIgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性細胞数が10/HPFを超える症例は1型AIPでは9例中8例であったが、癌部と膵癌上流の閉塞性膵炎でもそれぞれ21例中1例に認めた。このことより膵癌と1型AIPの鑑別において、IgG4陽性細胞数およびIgG4/IgG陽性細胞比率IgG4陽性細胞数については注意が必要であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本年度は1型自己免疫性膵炎のにおける抑制性細胞として制御性B細胞について解析ができたうえ、膵癌と1型自己免疫性膵炎においてIgG4陽性細胞について検討ができた。
来年度は1型自己免疫性膵炎における、制御性マクロファージと言われているM2マクロファージの役割と自然免疫の関わりについて検討する予定である。
抗体・試薬を購入する金額としては少ないため平成26年度の受入金と併せて購入する方が有効に活用できると判断したため。抗体、試薬の購入に使用します。
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