研究課題/領域番号 |
24591023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
洪 繁 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90402578)
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研究分担者 |
洪 実 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50631199)
中武 悠樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20415251)
石黒 洋 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90303651)
山本 明子 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60402385)
新飯田 俊平 独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (10137630)
松浦 俊博 独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (80501626)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膵炎 / 膵組織幹細胞 / LGR5 / BMI1 |
研究概要 |
哺乳類の膵臓は、げっ歯類では組織障害から再生する分子機構の存在が確認されていたものの、ヒトでは組織再生分子機構が存在せず、一旦組織が障害されると二度と回復しないと考えられてきた。我々は、これまで確認されていなかったヒト膵での臓器障害からの回復のモデルとして自己免疫性膵炎患者の治療前後の機能検査及び組織を用いて、ヒトにおいても臓器障害から組織を再生する分子機構が存在することを明らかにした。 再生医学の進展により少なくとも実験動物レベルでは、身体各臓器に組織幹細胞が存在し定常状態での組織維持、再生、炎症後の臓器再生においてこれらの組織幹細胞が細胞増殖の元になっていることが明らかとなっている。 本研究では、ヒトやげっ歯類の膵組織において、これまで他の細胞・組織で同定されている組織幹細胞マーカー陽性の局在を明らかにし、また炎症からの回復期におけるこれらの細胞の動態について明らかにすることを目的とした。 ヒトの手術膵を免疫組織学的に検討すると、膵導管細胞、膵腺房細胞、ランゲルハンス島の各細胞に消化管の幹細胞マーカーとしてその意義が確立しているLeucine-rich repeat-containing G protein-coupled receptor (LGR5)やpolycomb group蛋白であるBMI1が一部の細胞に発現していることが明らかになった。また膵の炎症モデルであるセルレイン膵炎モデルマウスにおいて、これらのマーカー発現細胞の数が著明に増加していることも発見した。この発見は、これらの幹細胞マーカー陽性細胞の炎症における何らかの役割を示唆しているものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目的は、ヒト及びげっ歯類(マウス)の膵における幹細胞マーカー発現細胞の局在を明らかにし、また炎症モデルにおけるこれらの幹細胞マーカー陽性細胞の動態を明らかにすることであった。本年度は、以上の2つの研究目的は達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これらの幹細胞マーカー陽性細胞の更なる特徴解析を行うとともに、幹細胞マーカーと発癌との関係について検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、動物実験、組織レベルの研究ではなく、細胞、遺伝子レベルの研究を主に推進するために、使用する予定である。
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