癌細胞は正常細胞と比較して細胞膜流動性が高いことが報告されており、この性質が癌固有性質として注目されている。膜流動性を非侵襲的に測定可能な手法として蛍光偏光解消法がある。同法により得られるFP値は客観的な絶対数として表されるため、癌固有性質の客観的評価法として期待される。大腸癌手術検体を用いた本検討では、非癌部と比較し癌部において明らかなFP値の低下を認めた。また免疫組織学的検討では、癌部において資質過酸化量が増加していた。これにより癌部の細胞膜流動性上昇がもたらされる可能性が示された。蛍光偏光解消法は内視鏡装置にも応用可能な光学的手法であり、癌固有性質の客観的な診断方法として期待される。
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