研究課題/領域番号 |
24591025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 正明 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (50361902)
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研究分担者 |
西倉 健 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30272818)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 早期胃がん / 画像強調内視鏡 / 粘液形質 |
研究概要 |
本研究の目的は、早期胃癌における粘液形質に基づいた組織形態形成の解析と、それを踏まえた画像強調内視鏡診断の展開である。我々が報告した粘液形質に関連した高分化型癌のNBI拡大所見に基づき、ピロリ菌の除菌による粘液形質と組織形態への影響を検討し、形質を踏まえた早期胃癌に対する新しい画像強調観察法の確立を目指している。 1. 除菌後胃癌における組織構築と粘液形質 ピロリ除菌後に発見された早期胃癌の検討のため、除菌治療が行われた後に発見された早期胃癌50病変に対して、研究代表者および研究協力者(3名)は、切除直前のNBI拡大内視鏡画像を、表面微細構造と微小血管構築像について、我々の提唱した分類に従って評価した。研究分担者は、癌の組織型、分化度、異型度、深達度に加えて癌表層部の腺管構築や炎症細胞浸潤などの組織学的所見を規定の基準に従い、独立して検討した。組織学的データーと内視鏡画像データーとの関連性を、非除菌症例と比較検討した。さらに、内視鏡治療前に前向きに除菌治療を行った早期胃癌の検討のため、早期胃癌の内視鏡切除前に除菌療法を行い、除菌前後で、上記と同様にNBI拡大所見や組織構築像、粘液形質、動的な関連性を検討した。 2. デジタル実体顕微鏡を用いた超拡大観察による組織構築と粘液形質の関連性 表面微細構造の明瞭化のため、切除標本をピオクタニンで染色し、デジタル実体顕微鏡を用いて、癌部の腺管開口部の性状および周囲粘膜の化生の有無を評価し、形質を踏まえた早期胃癌に対する新しい画像強調観察法の確立を目指して検討を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、早期胃癌における粘液形質に基づいた組織形態形成の解析と、それを踏まえた画像強調内視鏡診断の展開である。 1. 除菌後胃癌における組織構築と粘液形質 ピロリ除菌後に発見された早期胃癌の検討のため、除菌治療が行われた後に、発見された早期胃癌50病変に対して研究代表者および研究協力者(3名)は、切除直前のNBI拡大内視鏡画像を、表面微細構造と微小血管構築像について、我々の提唱した分類に従って評価を行った。研究分担者は、癌の組織型、分化度、異型度、深達度に加えて癌表層部の腺管構築や炎症細胞浸潤などの組織学的所見を規定の基準に従い、独立して検討した。組織学的データーと内視鏡画像データーとの関連性を、非除菌症例と比較検討した。さらに、内視鏡治療前に前向きに除菌治療を行った早期胃癌の検討のため、早期胃癌の内視鏡切除前に除菌療法を行い、除菌前後で、上記と同様にNBI拡大所見や組織構築像、粘液形質、動的な関連性を検討した。これらのデータをまとめた論文は、すでに国際誌に投稿受理された。 2. デジタル実体顕微鏡を用いた超拡大観察による組織構築と粘液形質の関連性 表面微細構造の明瞭化のため、切除標本をピオクタニンで染色しデジタル実体顕微鏡を用いて、癌部と周囲粘膜の化生の有無を評価し、検討を継続している。検討の対象を、通常の内視鏡検査では鑑別の難しい胃腺腫と胃癌に限定してまとめ、現在論文投稿中である。今後は、さらに、対象を広げて検討を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.今年度の研究実施計画に基づき、現在検討を進めている、胃腺腫と早期胃がんに対するNBI拡大観察を用いた鑑別のため、さらにデータを集積するとともに、診断ストラテジー作成に向けて研究を進める。新しい画像強調観察法が確立した上で、前向きに多数例の検討を行い、正診率、診断一致率、診断効率などの評価を行う。 2.デジタル実態顕微鏡を用いた超拡大観察について、微小腺管開口および周囲粘膜との関連性に着眼点を移して、検討症例をさらに追加する。
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次年度の研究費の使用計画 |
早期胃がんで認められる微小腺管開口の解析や、癌部と周囲非癌粘膜との比較を行うことが、本研究の目標達成には有用性が高いことが判明した。このため、デジタル実態顕微鏡で撮影された画像データの解析のため、新たに画像解析ソフトが必要であり、次年度の研究費を充てる予定である。
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